大学院長挨拶

専門領域に埋没することなく
幅広い視野と柔軟性のある
研究環境を構築すべく大学院改革に取り組んでいます

大学院とは、学部での学びをさらに高度化・専門化し、より奥深い研究を行う場であるといってよいでしょう。しかし、一方でそうした高度化・専門化によって、各々の研究活動はより細分化し、細かい領域の議論に踏み込むあまり研究分野の全体像が見えづらくなる傾向があります。

つまり、自分の専門の研究領域にのみ深く埋没していくあまり、「いま自分はその分野全体のどの部分について研究しているのか」がわからなくなってしま うのです。こうした「研究のタコツボ化」は、現在多くの大学院で
問題視されており、本学大学院も決して例外ではありません。

このような現状を踏まえ、現在本学では、大学院も含め大規模な改革に乗り出しているところです。2015年、約5000人にのぼる全学生を対象にマークシート方式のアンケート調査と面談による聞き取り調査を行い、学生の満足度を本格的に調査しました。その際に出された学生の忌憚のない意見を検証しながら、2016年4月より本学の改革案に取り組んでいます。そのなかの一つが、大学院における教育・研究のあり方を改革する「大学 院改革案の策定」というわけです。

大学院は、修士課程と博士課程からなりますが、まず修士課程の2年間では、学生が各々の研究領域に入る前に、より幅広い研究分野に目が向けられるようなカリキュラムを用意する考えです。もちろん、修士課程では2年間で修士論文を完成させなければならないため、専門特化した研究が重要になりますが、それとともに、幅広く柔軟な視野を獲得してもらいたいとのねらいもあります。

幅広く柔軟性のある視野は、自身の研究活動をより豊かなものにするはずです。あるいは、自身の研究領域が明確に定まっていなかったとしても、この段階で幅広い研究分野を知ることによって、進むべき道筋がおのずと見えてくるでしょう。この改革は、言い換えれば従来の専門領域化し過ぎた大学院の扉をより広く開け放つことでもあります。これによって、本学の学部生だけでなく、他大学の学生や豊富な経験をもつ社会人・シニア層など、多様な学生を受け入れる体制を一層強化していく考えです。

天台宗・真言宗豊山派・真言宗智山派・浄土宗の四宗派が共同で運営する本学には、1926年設立以来、90年におよぶ膨大な研究の成果が蓄積されています。本学大学院で学ぶということは、その長い歴史と伝統のなかで築き上げられた先人たちの知恵と叡智をみずからの手で受け継ぐことに他なりません。ぜひ、本学大学院の学びを通して、その優れた継承者になっていただきたいと願います。

大正大学大学院長 大塚伸夫