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「いま注目の、すてきな“WASHOKU”」精進料理を通し、日本文化の一つである仏教を伝える活動をしている飯沼さんに、精進料理に対する考え方やこだわり、そして魅力をお伺いしました。みんな大好きな食事から、日本文化を探ります。Feature03食材そのものの個性を活かし、余すところなくいただく。身体だけでなく、心にもきく精進料理 大学時代、精進料理を通して仏教を伝えようと考えるようになりました。福昌寺に長男として生まれたので、将来はお坊さんになるという意識は小さい頃からあったのですが、成長するにつれ、どんなお坊さんになるのがいいのか、考えるようになりました。それまでも料理は好きだったのですが、大学時代に飲食店のアルバイトがきっかけで、仏教を伝える手段として、料理を役立てたいと考えるようになりました。卒業後、精進料理に活かすため、和食、イタリアンなどの飲食店で、幅広い料理の知識を積みながら調理師免許を取得教えです。“偏らない”という教えなのですが、料理全体の味の“バランス”に気をつけています。酢の物のような酸っぱいものがあって、塩で焼いたものがあってなど、辛過ぎず甘過ぎず、というバランスが大事です。 次に、食材を余すところなく使い切り、そして素材の個性を活かすことです。例えば、苦い野菜があって、その苦味をなくしてしまうのではなく、個性である苦味を活かすことができる組み合わせを考えるようにしています。それは社会も同じで、長所を活かし、引き立てることで、短所を補う。そのように考えると、気持ちがやさしくなりますよね。しました。 10年ほど前から精進料理の会をスタートさせました。例えば、旬をおいしく、余すことなく召し上がっていただける会、坐禅をしてお粥を食べる会などを開催しています。お寺でお経を読んだり、坐禅を組む。ゆったりとした時間の流れを感じながら、おいしく精進料理を食べる。そういった硬軟のバランスは、人の心を調えてくれます。仏教の教えを大切に心を込めて作る 私が精進料理を作る上で、大切にしていることがいくつかあります。 一つは、「中道」という、仏教のProfile1982年神奈川県生まれ。大正大学在学中に“食を通じた布教”を志す。現在、お寺を中心に各地で精進料理会を開催し、幅広い世代に仏教を伝える活動を行っている。飯沼 康祐さん天台宗福昌寺副住職著作「簡単!お寺ご飯心もカラダもきれいになる!」©minokamo©minokamoOHDAI Vol.104092018 SPRING

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