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『あさひなぐ』作品紹介 美術部出身の高校1年生・東島 旭は、憧れの先輩・宮路真春のような強い女になるべく、薙刀部に入部する。競技人口の少ない“なぎなた”は「部活界のアメリカンドリーム」と言われ、運動音痴の旭も活躍を夢見るが、練習は過酷そのもの。同級生たちにも差をつけられる中、旭は持ち前の眩しいほどのひたむきさだけを武器に、“なぎなた”と“仲間”と向き合っていく。少女たちの心の葛藤と成長が繊細かつ鮮やかに描かれる、青春ストーリー!単行本1~25巻発売中。第26巻4月27日頃発売予定!Special FEATUREさまざまな形で日本文化に携わる人々にきく「日本文化と、ひと」登場人物それぞれの視点を大切にしながら物語を創り上げていく 「私じゃないとできない仕事をしたい」 それが、私が漫画家を志したきっかけでした。元々はルポ漫画やネットコラムの挿絵などをメインに仕事をしており、クライアントの要求にいかに応えるか、という意味でやり甲斐はあったのですが、一方で自分でないとできない仕事がしたいという気持ちも抱くようになりました。 漫画を描くようになってから、私は心掛けていることがあります。それは、キャラクター片方の視点だけにならないようにすること。だから、私の描く漫画では、絶対的に悪い人は出てこないし、主人公がているというよりは、やわらかい自然光が主人公の周りにあふれている…というイメージを表現するようにしています。人と人とのかかわり合いの中で、主人公がというよりは、登場人物一人ひとりが成長していくような物語にしたいと思っています。漫画制作は作家と編集者との共同作業 『あさひなぐ』に関しては、最初から薙刀をテーマに漫画を描こうと思っていたわけではありません。そもそもスポーツにこだわっていたわけでもなく、部活に励む高校生が主人公で…くらいしか決まっていませんでした。そのため、編集者とアイデアを出し合うとこ常に正しい選択をするわけでもない。嫌な奴だなと感じる登場人物にも実はストーリーがあって、その人物の立場になって世界を見てみると、葛藤の中、たどり着いた答えがあり、他人から嫌われるような態度や台詞にも、実はしっかりと意味がある。人ってきっと、そういうものだと感じます。 私の好きな映画監督で橋口亮輔さんという方がいるのですが、著書で「人間とはネガとポジの間で揺れ動く生き物」と書かれていました。そこにすごく共感するところがあって、私はその揺れ動く様がとてもキレイだと思っています。 漫画を描く時は、主人公にスポットライトが当たっ「読んで良かった」そう思ってもらえる作品を描き続けたい#2こざき 亜衣さん『あさひなぐ』(小学館発行)漫画家Profileこざき亜衣(こざき あい) 1982年、千葉県生まれ。ルポ漫画などを手がけながら装画やCDジャケット等のイラストレーターとして活躍後、2007年『さよならジル様』で第51回ちばてつや賞一般部門大賞を受賞、『週刊モーニング』(講談社)にて漫画家デビュー。'11年より『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で『あさひなぐ』を連載開始。'15年、本作で第60回小学館漫画賞一般向け部門を受賞、'17年には乃木坂46メンバー出演で舞台化・映画化もされた。 © こざき亜衣/小学館「ビッグコミックスピリッツ」連載中OHDAI Vol.104052018 SPRING
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