大正大学 スガモで育む日本の未来。

大学院紹介

大学院長挨拶

大正大学大学院の展望と使命

大正大学大学院の歴史は、本学が新制大学に移行したときまで遡ります。昭和26年(1951)に大学院設置の認可がなされ、その三年後には博士課程が増設されました。当時は文学研究科に仏教学専攻・宗教学専攻・国文学専攻を置き、一研究科三専攻でした。七十余年が経ち、現在では三研究科(仏教学研究科・人間学研究科・文学研究科)七専攻の体制をとり、定員は倍加しています。

現代社会にはこれまでに経験したことのない変化が起きています。少子高齢化の加速による産業構造の変化、先端技術の高度化に伴う超スマート社会(Society5.0)の到来、アフターコロナにおける人びとの価値観の変化など、私たちはさまざまな課題に直面しています。そのような激動の時代にあって、大学院の研究成果は人びとにとっての道標であるべきだと考えます。

大学院における教育・研究は高度な専門性に基づくものですが、学問領域のサイロ化(タコツボ化)が久しく問題になっています。

大正大学は開学以来、大乗仏教精神を研究・教育の根幹としており、仏教学以外の領域においても「智慧と慈悲の実践」を基調とした学風が伝統的に継承されてきました。「智慧と慈悲の実践」とは大乗仏教の菩薩の生き方を表しています。菩薩とは飽くなき智慧の探究者であり、また隔てなき慈悲の実践者です。研究活動はただ自己研鑽に止まるのではなく、共に生きる人びとのためにもあるべきです。そのために自らの専門分野の学修とともに、普遍的なものの見方を身につけることが求められます。大学院内の流動性を高めて、研究科・専攻の枠を越えた交流の機会を増やし、サイロ化の問題に対応していきたいと考えています。

また近年はどの大学院も進学者数の減少が問題となっています。研究者の育成はわが国全体の課題と理解しています。

大正大学大学院は、学部の卒業生はもちろん、社会人にも高度な学びの場として専門教育への門戸が開かれています。社会人の方が現業に従事しながら修学できるような仕組みを構築しています。多様な人材を受け入れ、学部から進学した学生らと共に研究することで大学院はますます活性化することと考えます。また大正大学の伝統を継承し、独創性のある研究を行う研究者を養成するために、大学院生対象に「大正大学研究者育成奨学金制度」を設けています。

大正大学はその長い歴史の中で多くの研究成果が蓄積されています。大学院生の一人ひとりが、伝統を受け継ぎながら、学問の新たな担い手になることを心より願っています。

大正大学大学院長 神達知純