地域貢献・国際交流「まち」が大学になる、大学が「まち」になる
協定留学生ブログ ミュンヘン大学(ドイツ)から
北の墓地と南の墓地
長らくブログを更新しておらず、これに興味のある方がいるのかどうかは知りませんが申し訳ございません。今日はミュンヘンの墓地を紹介したいと思っています。
さて、日本にお墓があるようにミュンヘンにもお墓があります。教会の庭に小さな墓石が置かれていることもあるし、日本で言うところの霊園に相当するものもあります。紹介したいのは、北の墓地と南の墓地です、おそらくは霊園。
まずは北の墓地から。私の住んでいる学生寮から15分ほど歩くと、何の前触れもなく大きな霊園に出くわします。その場所の最寄り駅は「Nordfriedhof」(北のお墓)、そりゃ墓の1つや2つはあってもおかしくはない。駅と言うよりは停留所の感覚なのだけれど、少し驚く名前でもあります。ただ、外から見る限りはここから墓地が始まるという予想はできなくて、何やら行列ができていたのでくっついて入ったら墓地だった、というだけの話です。真冬でしたよ、豪雪でしたよ。
中央の入り口はこのような建物。そしてこの後ろには夢にまで見た、というか夢の後に訪れると言うべきか、神聖なる墓地が広がっています。
この建物は「Aussegnungshalle」というもので、敷地内を囲む石造りの壁とつながっており、トイレや受付、棺を安置する部屋などが設けられています。私の出くわした行列はこの階段にそって続いており、あれは言うまでもなく葬列だったのでしょう。思い返してみれば喪服だったようなそうでもないような。
こちらが霊園の中、左右には整然と墓石が並んでいます。
とても全景を撮影することはできなかったのでこのような写真になってしまいました。良く晴れていたせいか、あるいは花が咲いているせいなのか、とても長閑でお弁当を持ってくれば良かったと後悔しました。実際にお墓参りとも散歩とも、はたまた両方を目的としているのかわからない人びととすれ違います。私は霊園がとても好きで日本でもよく霊園に足を運んでいました。一年生の必修科目をさぼって、大正大学近くの染井霊園へ。
キリスト教の正式なお墓参りの作法は知らないのですが、日本のように花を買ってきて供えるというわけではなく、墓石の前の小さな庭に花を植えておくようです。写真の区画は比較的に手入れが行き届いており、まるで小さな家のようでした。今回は夏ですが、冬には敷地を区切っている小道にろうそくが置かれ、神社の参道に似た景色が見られます。
談笑している婦人方。ぜひ仲間に入れてもらいたいものです。この北墓地は1884年に当時の地域団体によって建設されたものです。しかし、ミュンヘンには「Alter Nordfriedhof」(旧北墓地)も存在しており、よく間違われるそうです。ただ、最寄りの駅名が上述の通りだからか、北墓地と呼ばれているようで、新北墓地という記述は見つけることはできませんでした。規模を想像してもらえるかどうか自信がないのですが、墓1つを建設するための場所が約34000あるらしく、染井霊園が約6000ということを考えるとやはり北墓地は大きいですね。そろそろ、南の墓地にいきましょうか。
南の墓地はまさしく、「Alter Südfriedhof」(旧南墓地)です。この墓地は過去、「Pestfriedhof」(ペストの墓)と呼ばれており、門の外の墓地と言われていたそうです。ミュンヘンは中心の広場へ4つの門から進入できる造りになっているのですが、この南墓地はその4つの門の円周外に1563年に建設されたそうです。確かに現存しているイザー門から徒歩で辿り着ける場所に位置しており、門の外と言われれば納得がいきます。1778年から1868年までの間は、すべての死者(階級や身分が関係なく、だと思います…)埋葬できる唯一の墓地だったそうで、墓碑銘に数多くの著名人の名を見つけることができます。北墓地と比べると鬱蒼としていて、1つ1つの墓石も相当な年月が経っているかのようです。区画は整理されているのですが、その中で墓石は乱雑に配置されており、墓石同士が重なりあっている光景も見ることができます。もしかしたら古いお墓なのかもしれません。この南墓地には面白い形をした墓石が多く、それが古いからなのかどうかはわからないながらも足を止めては、誰のお墓だろうかと考えてしまいました。
下の写真は少し休憩をする椅子、ではなくてお墓です。「FAMILIE」(家族)の文字がなかったら座ってしまうところです。
敷地内の小道にはよくベンチが置かれていて、休憩をしたりご飯を食べたり、本を読んだりしている人もいます。何せ私がこの墓地を初めて訪ねた理由は、近所の学校の先生に「お昼ご飯を食べられる
場所はないのか?」と尋ねたところ、「南墓地はいいよ、最近は花も咲いてるよ」と言われたからです。一般的にドイツ人が墓地で昼ご飯を食べるのか、彼女がただそういう人間なのかは知らないけれど、確かに花は咲いているし教えてもらえて良かったと思っています。
特に思い当たる理由はないのですが、皆さんは墓にはカラスがいるものだと思いませんか、やはりいましたよ。私が日本で想像していたヨーロッパの墓地には、十字架で羽を休めるカラス(怖い顔をしていて目が光る)がいたのですが、どうやら間違っていなかったようです。ただ、ここまで墓地が開放的で市民に利用されているとは思っていませんでした。染井霊園で自分と同年齢の人間を見かけたことはありませんでしたしね。
付け加えておくと、この南墓地は観光地としてもやや有名なようです。ミュンヘンを通りかかった際はぜひ立ち寄ってみて下さい、もちろん北墓地にも。遠い将来、住んでみるっていうのも悪くないと思いますよ。