大学紹介

ABOUT TAISHO

伝統の継承と革新的創造を目指して

大正大学学長大塚伸夫

令和元年11月1日付で、大正大学第36代学長に就任しました高橋秀裕です。
大正大学は、仏教精神を基調として1926(大正15)年に開学し、2026(令和8)年に100周年を迎える伝統ある文系総合大学です。その伝統を継承し、発展に尽くされた多くの皆様の志を思うに、学長の重責を担うにあたっては、身の引き締まるものがあります。これから4年間、学生、教職員と力をあわせ、大正大学の社会的評価をより一層高めるべく全力を尽くす所存です。

少子高齢化社会の進展により、2060年にはわが国の生産年齢人口は現在の半分になると予測されています。明るい日本の未来を築いてゆくには、わが国の生産力を向上させることが必要であり、そのためには全ての国民の知的水準を底上げすることが不可欠であるとの指摘もあります。学部学生の約8割を擁している私立大学の役割が極めて重要となってくるというわけです。

その一方で、近い将来、わが国では「大学淘汰の時代」を迎えることが予想され、大学の生き残りをめぐる問題が顕在化しつつある昨今、次々と提示される国の高等教育政策は、大学に待ったなしの教育改革を要請し、その動きは益々顕著になっています。

このような状況において、本学では、すでに大学経営・運営に関する独自のマネジメントシステムである「TSR(Taisho University Social Responsibility=大正大学の社会的責任)マネジメント」を構築し、大学の運営理念及び人材育成ビジョンに基づく、教育・研究活動を継続的に発展させるための戦略を具現化してきました。
さらに本学は、時代や社会の急激な変化に対応した大学づくりが求められるなか、第3次中期マスタープラン「大正大学100年、魅力化構想とそれを実現するための働き方改革(INNOVATE 5」を策定し、2020年度以降、革新的な改革を実行しようとしています。その骨子は次のように纏められます。

  • DAC(ダイバーシティ・エージェンシー・コミュニティ)による総合学修支援
  • 産官学連携による地域・社会をつくる人材育成
  • アントレプレナーシップの養成
  • 巣鴨の全てがキャンパス
  • 建学の理念(智慧と慈悲の実践)への回帰

この「INNOVATE 5」の実現のために、建学の理念「智慧と慈悲の実践」と教育ビジョン「4つの人となる」(慈悲・自灯明・中道・共生)のもと、不確かな社会に向かって、生涯にわたり向上心を持って学び続け、人間を総合的に理解し、人類の福祉に貢献する人材を育成することを目指します。
その中心となる使命は、3つのポリシー(※)を実質化して、教育の質保証をはかることです。この教育の質保証のためには、学修成果を可視化し、関係者(ステークホルダー)への説明責任を果たすことが必要となります。そのために教育のそれぞれの実行レベルでPDCAサイクルを回し、一体感のある立体的な仕組みを作り上げていきます。
来年度(2020年度)には、新たに「社会共生学部」がスタートし、7月には知の拠点としての図書館機能と総合学修支援を展開するラーニングコモンズを備えた新8号館が竣工する予定です。教育・研究体制の抜本的な改革も実施すべく、検討が進んでいます。

さて、このように本学ではめまぐるしいほどの改革が推進され、中長期的にこれまで以上に大きく躍進しようとしています。まずはこれらの取組みを、確実に継承し、発展させることが重要であるという認識のもと、新体制において目指すべき重点方針を5つの視点から概略的に以下に示します。

1.教育活動の充実

現在、6学部・3研究科体制で新たな学生を迎え入れようとしています。受け入れた学生に対する学修支援体制を確立し、充実させることが重要です。その1つとして、①DACによる総合学修支援によって、少人数教育を実現し、学生が生涯にわたって学び成長し続けるための「学修習慣を身につけられる大学」にすることを目指します。その際、多様な学生に対応できる体制づくりが重要になってきます。そのほか、②高大接続改革の継続的推進、③全学のFD活動のさらなる推進(研究を教育にどう反映させるかの検討も含む)、④国際交流の推進、⑤図書館機能の充実、といったことに取り組む必要があると考えています。また、障がいをもつ学生を含めた多様な学生に対して、より良い学修支援体制を整備することも重要です。そこには、これまで推進されてきた教職一体となったきめ細かな対応がより一層求められると思っています。

2.研究活動の充実

大学の特色を十分に活かして、活発な研究活動が展開されている大学は輝いています。研究活動において重要なことは、学内はもちろんのこと、学外からも高い評価を受けることです。その最たるものとして、科研費をはじめとする外部研究資金を獲得することが重要となってきます。本学では2017年4月に「大正大学学術研究機構(通称、TARI)を設置し、そこを拠点に教職協働のもと総合的研究支援体制を強化することにより、科研費採択率も少しずつアップしています。今後TARIの活動を継続するとともに、学内学術研究助成と科研費との繋がりを見直す必要があります。大学院における研究人材育成方針を整備することも急務です。また、各研究所との連携を図り、大学院を含む大学全体を巻き込んだ、「社会貢献」をも視野に入れた学際的な研究活動が推進できる研究環境づくりを目指します。

3.学生の生活支援と就職支援

学生に対する生活支援とともに就職支援の課題は、教育の質保証の基盤となる重要な案件と位置づけることができます。障がいを抱えた学生も含め、①行き届いた学生生活空間の確保を推進し、②ハラスメント防止や、③相談室の充実も重要になってきます。④新8号館利活用の検討も急務となります。
就職支援に関しては、変化の激しい就職事情にもかかわらず、きめ細かな支援に取り組み、年々就職率を上昇させてきました。今後、引き続き、⑤企業との連携を強化するとともに、⑥インターンシップを中心とする就職活動支援を拡充し、とりわけ、⑦各種資格取得や公務員試験対策をさらに強化し、⑧低学年から計画的にキャリア教育を推進する体制づくりに取り組みます。

4.地域連携と社会貢献

第3次中期マスタープランにあるように、本学は地域主義の大学として、地域と連携して総合的に支え合うシステムの構築を目指しています。これまで継続的に取り組んできた、①広域地域自治体との連携事業、②南三陸の復興支援事業、③豊島区との地域連携事業、④鴨台観音堂を中核とする「すがも花街道」事業などを継承しながら機能別に特化させ、学生を巻き込んだ活動をさらに強化するとともに、学生が世間的な知を獲得することを通して、総合的な人間力を形成できるような実践教育に取り組めればと思います。これらの活動を通じて、地域を志向し、地域と連携し、社会に貢献できる本学のイメージを定着させ、ステークホルダーの期待に応える方針です。

5.大学ガバナンス改革と学風の醸成

本学はガバナンス改革を実施し、前大塚学長のもとで体制が整ってまいりました。大学のガバナンスは、「学長のリーダーシップ」の下で構築することが重要であることは言うまでもありません。しかし、リーダーシップは個人の力や能力だけでは果たせません。そのためには、意思決定システムの強化が重要になってきます。リーダーシップを可能にする意志決定組織をより強固なものとし、これを十全に機能させるには、しかるべき体制の構築、組織を動かす権限、明快な意志決定と実行を支えるシステムの確立が不可欠です。新体制では、教職協働を次のステップ(共創)に進めるための体制づくりと学長補佐体制の強化を図りたいと考えています。
学風の醸成に関しては、母校愛を醸成し、卒業生の同窓会組織である「鴨台会」を活性化する方策として、特に若い世代の鴨台会活動を支援します。また、建学の理念である「智慧と慈悲の実践」を将来にわたって持続させ、より強固なものにするため、自校教育を充実させ、併せて諸活動の広報を強化することによって「大正大学ブランド」の確立を目指します。

最後に、これまで述べてきた諸改革の原動力として、「情報基盤の確立」と「内部質保証の実質化」が必須になるかと思います。

ビッグデータ時代を迎えるに当たり、大学は学生の個人データが適正に取り扱われているか留意するとともに、学生に対してそれを正しく使うための「情報リテラシー教育」を推進してゆく必要があります。そのためにも、学生の側に立った情報システムの開発等を高大間等の連携により進めてゆくことが必須となります。

また、内部質保証の実質化はIRの実質化から始まるとも言われます。学修成果の可視化や、改革・改善を大学自らが推進してゆく体制づくりは、IR活動の実質化によって成し遂げられるものと考えられます。

大学が直面する課題はさまざまですが、その中核はやはり教育・研究と人材育成、そして社会貢献です。大学としての社会的責任を果たし、ステークホルダーからの期待に応える意志をはっきりと示し、実行してゆくことによって、新たなステージへと向かうことが求められています。受け継がれてきた伝統を継承し、グローバル時代を牽引する人材を育成するため、全学をあげて教職協働体制を強化してイノベーション(革新的創造)に取り組んでまいります。

大正大学 学長 髙橋秀裕