地域貢献・国際交流

深める地域との絆、広がる国際交流

協定留学生ブログ 上海大学(中国)から

上海における日本のサブカルチャーと知的財産権

 

中国においても日本の芸能人や歌、アニメ、ドラマなどは人気がある。芸能人は特に山下智久、SMAP、浜崎あゆみ、最近ではAKB48などの人気が高く、テレビ放送では彼らの日本の歌番組での映像が放映されたり、彼らが実際に中国の番組に出演することもある。ライブなども度々行われ、そちらも人気を博している。
 上海の有名なテレビ塔のそばにあるショッピングモールの中には、AKB48の専門店が入っている。また、上海にももうすぐSNH(上海)48ができるらしいので、今後、日本流のアイドル文化が上海を中心に中国全土に広がっていくかもしれない。
 
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先日中国人の人々とカラオケに行く機会があった。日本語なども一切習っていない一般的な中国人の人々だ。日本の歌で知っているものがあるかと聞くと、宇多田光と山下智久の歌なら知っているという。日本のドラマを見たり、歌番組を見て覚えたのだそうだ。このように中国の人々は日本の歌やドラマなどに多くの人が親しんでいる。
なぜ中国でも日本の芸能人の人気があるかというと、一つの要因は中国本土においても視聴可能な台湾のテレビ局が、日本のスターを割と積極的に取り上げる傾向にあるということ。もう一つは、中国・台湾のテレビでは自国のものだけでなく、アジア各国のテレビ番組も放映しているということが挙げられる。今年の1月中は、中国のテレビ放送で日本の紅白歌合戦の映像も度々流していた。中国は日本と違い多くのテレビチャンネルがあるため、その中で様々な国の番組を放送している。日本の番組の他にも韓国のドラマや歌手も人気があるし、もちろん欧米の映画も流す。さらにはタイやインドネシアのドラマもよく放送されている。中国では「自国だけ」「日本だけ」「韓国だけ」と極端に一つの国家に偏らず他のアジア各国の番組も放送しており、そこは日本のテレビとは異なる部分である。中でも日本のコンテンツに人気が集まるのは、親日寄りの台湾の影響は大きいといえるだろう。
 中国において、日本の音楽や映像コンテンツが広まっていく大きな要因は、テレビだけでなく、やはりインターネットの力が大きいと考えられる。複数存在する中国の動画サイトには日本のコンテンツも数多くアップロードされ、それらを無料で閲覧、ダウンロードすることができる。しかも新曲、新番組は発売、放送後すぐにアップロードされるため、日本現地とのタイムラグもほとんど感じることはない。また、路上ではDVDの海賊版が低価格で気軽に手に入ってしまう。こちらも発売後すぐに普及する。さらには公開したばかりの映画が海賊版DVDとして出回ることもざらである。ほとんどの消費者はこうした方法で国内、国外問わず多くのコンテンツを利用している。
 中国における知的財産の侵害問題は、日本だけでなく世界各国が問題視している。中国では、音楽・映像の不正利用だけでなく、ブランド物やキャラクターの模造品も大量に出回っている。中国側も徐々に知的財産という考え方の普及活動を初めてはいるようで、模造品販売摘発を報道したり、小学校から大学までの学生を対象に、学校で知的財産保護について教育を行なったりしているようだ。しかし現状を見ると、今でも模造品や動画サイトへのアップロードのほとんどが野放し状態になっている。現在は海外からの閲覧に対する対策として中国国外からの動画サイトへのアクセスを遮断しているくらいで、国内での対策は十分とは言えない。
 中国国内において知的財産権の侵害問題について進展がなかなか無い理由としては、国民の経済格差が大きいことがまず一つの要因である。一般層は正規版のDVDやCDにはなかなか手が届かない。中国の人々は、生まれながらに「農民」と「都市民」に分けられていて、農民が都市に働きに出たとしても就ける仕事は限られ、収入も多くはない。彼らには娯楽に多くの金を費やせるような余裕はない。そのため、安値で海賊版が出回る結果になる。
さらに、中国の文化において「知的財産権」というアイデアを財産とみなす考え方や、人の真似をしてものを作ることが悪いことであるという考え方はあまり一般的で無かったため、中国の人々の間では著作権に関する規制がなかなか理解されにくいということも要因として挙げられる。
 しかし、著作権の問題が世界的問題になってしまっている以上、中国は今後も何らかの対策をしていかなければならない。そうでなければ諸外国からの評価を下げる結果につながるし、国際的な信用問題に関わるといえるだろう。
 中国人の友人に知的財産権に対する考えを聞いてみたところ、みんなきちんと「知的財産の侵害は中国では当たり前になっていることだけど、本来良くないことだ。きちんと正規のルートでものを手に入れるからこそより良い作品も生まれる。」というようなしっかりとした考えを持っていた。しかし彼らは大学に通っている学のある生徒たちだ。模造品の多くを製造、販売しているのは彼らよりも金銭的にあまり余裕の無い層の人々なので、中国全体にこの考えを広めるのはなかなか骨の折れる仕事かもしれない。
 
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