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ノンフィクションって何?~ノンフィクション作家に直接聞いてみよう!~

こんにちは、コンシェルジュの岩下です。

6/6(金)は、松野智章先生によるラーニングコモンズレファレンスが開催されました。テーマは「ノンフィクションって何?~ノンフィクション作家に直接聞いてみよう!~」です。

今回はゲストに生活文化ジャーナリストの加藤裕子(かとうひろこ)氏をお迎えし、ノンフィクションの題材選びから出版までの流れを詳しく教えていただきました。

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▲(左)松野先生 (右)加藤氏
 

今回のラーニングコモンズレファレンスは、加藤氏の「みなさんは『ノンフィクション』といえばどんな本を思い浮かべますか?」という問いから始まりました。

せっかくなのでブログをご覧のみなさんも少し考えてみてください。たとえば、ここでご紹介する加藤氏の著作および執筆に関わった本では、どの本がノンフィクションでどの本がそうではないと思いますか?

   

▲書影をクリックすると紀伊国屋書店の詳細ページが開きます

正解は・・・・・・「上で紹介したすべての本がノンフィクション」です。加藤氏は「ノンフィクションとはフィクション(創作)ではないものすべて」だと教えてくださいました。

当初、参加者たちの意見で圧倒的に多かったのが「ノンフィクションとは、ジャーナリストが取材に基づいて書いた本のことだと思う。つまり、加藤氏の著作でいえば『寿司、プリーズ!』だけがノンフィクションだ」というものでした。しかし実際にはこれらのすべての本がノンフィクションだと聞かされ、参加者たちは非常に驚いた様子でした。

このことを踏まえて、今回のラーニングコモンズレファレンスでは、参加者自身も身近な話題を選んでノンフィクションの執筆を体験してみることになりました。とはいえ、二時間という限られた時間内に作品を仕上げることはとてもできません。そこで今回は、加藤氏の実体験を交えながら、ノンフィクションの題材探しから出版までのおおよその流れを教えていただくことにしました。

以下は、加藤氏によるお話をまとめたものです。

【ノンフィクションを書くには】

  1. 題材を探す
    まずは、題材になりそうなものを探します。自分の興味や関心から、自分が思いついた単語や文章を紙に書きだしましょう。いくつ書き出してもかまいません。何も思いつかないようであれば、目の前にあるもの(「お茶」「テーブル」など)から発想を広げていくのもいいですね。
     
  2. 題材を絞り込む
    次に、先ほど出したたくさんのアイディアを絞り込んでいきます。自分が一番取り組みたい題材はどれか。また、読者が手に取ってくれる題材はどれなのか。すでにある本とは切り口を変えることも重要です。
     
  3. 題材を肉付けする
    題材が決まったら肉付けを行います。肉付けを行うには、とにかく資料にあたります。文字情報が豊富な媒体としては、インターネット・本・新聞・図鑑などが挙げられます。特に専門書には、その本の著者が参考にした文献が掲載されているので見逃さないでください。何より重要なのは、自分で生の体験をすることです。動画ではなく、自分の目で見ることで得られるものがあるはずです。
     
  4. 情報を整理する
    情報を整理するには、専用の無地ノートを用意するところから始めると良いです。書いて、貼って、挟んで、その題材に関わるすべての情報をこのノートに集約しましょう。時には録画や録音を活用することも必要ですが、とにかく自分の手でノートに書くのがおすすめです。なぜならば、ノートに手書きをすることで、後でノートを開いた時に当時の状況を瞬時に思い出すことができるようになるからです。やむを得ず、記憶を元に後でメモ書きすることもありますが、できるだけ現場で観察、現場で記録してください。
     
  5. インタビューを申し込む
    自分が選んだ題材の専門家に会いたいと思ったら、まずは相手に宛てて手紙を書いてみましょう。相手が本を出版している人なら本の奥付を見て出版社宛に「気付(きづけ)」で手紙を送りましょう。この時、自分の著作、なければそのテーマの企画書を同封しておくと良いです。
     
  6. インタビューを行う
    実際に著者に会えることになったら、清潔で不快感を与えない服装で待ち合わせ場所へ行ってください。とにかく礼儀正しくふるまいましょう。相手の話を聞きながらのメモ取りにはキーワードを活用すると良いですね。同時に、声のトーン、身振り手振りなど相手が喋っていないことをメモしておくと、のちのち活用することができます。
     
  7. 本を書き始める前に考えておくこと
    読者は誰なのか。
    自分は読者に何を伝えたいのか。
    もう一度これらのことを明確にしておきましょう。
     
  8. タイトルを決める
    自分がその題材の「何」を取り上げているのかが伝わるタイトルをつけてください。たとえばマンタについて書きたいと思ったら、ただの「マンタ」ではなく「〇〇するマンタ」「マンタの〇〇は××である」など工夫をしてください。言葉で人の興味を引くのです。
     
  9. 本の構成を考える
    ひとまずは、何でもいいので書き始めることが重要です。とにかく書き始めるうちに、自分の流れが決まってくるはずです。特に「はじめに」や「おわりに」を書くと、自分が書きたいことの全体像がはっきりするでしょう。
     
  10. 出版する
    ノンフィクション作品の出版は年々難しくなっています。ノンフィクションを出版しようと思ったら、まずは賞に応募するのが良いでしょう。現在、開高健ノンフィクション賞(集英社公式サイト)、小学館ノンフィクション大賞などの各賞が作品を募集しています。

    一方で、最近では自分で作品を電子書籍化したり、ウェブで発表したりすることもできます。ただし、出版社を通さずに作品を発表するということは、校正を受けられず、事実関係のチェックがされないということでもあります。もしも発表した内容に事実誤認があったら、最悪の場合は訴訟問題に発展することも考えられます。これには十分注意をしたいところです。

いかがでしたか?ノンフィクション出版までの道のりをご理解いただけたでしょうか。

実際には、参加者たちはワークショップ形式の作業をしながら加藤氏によるお話をおうかがいしました。途中、「4.情報整理」の実地訓練として参加者全員で松野先生の絵を描く局面などもあり、とても和やかなラーニングコモンズレファレンスとなりました。

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▲参加者一人一人が仮のノンフィクション作品のテーマを決めます。
それぞれに個性的なアイディアを披露してくれました。

最後に、加藤氏はこんなお話をしてくださいました。「ノンフィクションには、今日ご紹介したような身近な題材を扱ったものもあれば、文字通り世界を変えるような題材を扱ったものまで様々な種類があります。ちなみに、大きなテーマを扱った例としては、二玄社より出版されている『ベスト&ブライテスト』(書店サイト)などが挙げられます。この本のように、時代の潮目を変えることができるのがノンフィクションの醍醐味です。一方で、身近なテーマを扱うことで、今までそのことに興味がなかった人の内面世界を広げてあげるというのも素敵なことですよね。みなさんも今日考えたテーマをぜひ形にしてみてください」。

松野先生と加藤氏のお話がひと段落ついた後も参加者たちの興味は尽きず、しばらくはお二人を囲んで様々なノンフィクション作品の話題で盛り上がりを見せていました。最後までお付き合いいただいた松野先生、加藤氏、そして参加者のみなさん、どうもありがとうございました。

次回の松野先生によるラーニングコモンズレファレンスは6/20(金)14:50~16:50に開催します。テーマは追ってお知らせいたしますので、楽しみにお待ちください。

それでは、また ヾ(*'▽'*)o

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