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【開催レポート】テーマ→「7」で知的書評合戦ビブリオバトル

みなさんこんにちは。図書館の伊藤です。

 

今回は10月に開催された知的書評合戦ビブリオバトルの様子をレポートしたいと思います。 参加バトラーを始めブログを楽しみにしている皆さん、開催から2ヶ月あまり経ってのレポートとなり、更新が遅くなり大変申し訳ございませんでした。

 

それではさっそくレポートに移りたいと思います。今回のテーマは「7」。7月開催のチャンプ本紹介者、勇梨桜さんから提案していただきました。

 

100701▲今回はこちらの4名でバトル!

 

集まったバトラーは4名です。ラーニングコモンズコンシェルジュの岩下さんや、西洋哲学の松野智章先生も参加され、いつも以上にバラエティに富んだメンバーでのバトルとなりました。また、当日は大野純子先生と留学生の皆さんにもオーディエンスとして参加していただき、にぎやかに開催されました。

 

書名:Re:Monster(リ・モンスター)
著者:金斬 児狐
出版社:星雲社

トップバッターの勇梨桜(ゆうりお)さんが紹介してくれた本は『Re:Monster』です。 オンライン小説から火がついた人気のライトノベルです。テーマの「7」で選んだ理由は、「初版発行日が(勇梨桜さんによると)3月7日だから」。 人間からゴブリンに生まれ変わってしまった主人公が、食べたら食べただけ強くなる特殊能力を生かしてゴブリンの神様「ゴブ朗」として活躍するストーリーだそうです。勇梨桜さんは、この作品を通して、もっとオンライン小説に興味をもってもらいたいと話していました。

 

書名:むかしのはなし
著者:三浦 しをん
出版社:幻冬舎

 

続いて2番目のバトラーはさいくささんです。三浦しをん著『むかしのはなし』を紹介してくれました。桃太郎や浦島太郎など、誰でも知っている昔話をリメイクした短編集『むかしのはなし』。そこには亀も出てきませんし、桃も流れてきません。地球が隕石で滅亡すると分かったとき、人はどうするのか。宇宙に行った人々が隕石衝突で滅んだ地球のことを語るという「昔話」なんだそうです。過去の話の裏には未来が含まれている点がおもしろい、とさいくささん。7つの短編からなる作品ということ、七夕や北斗七星など宇宙から連想すると7のつくキーワードが出てくることなどからこの本を紹介してくれました。この本を始めて読む人へのアドバイスとしては、1話から順に読んでいくと読後スッキリするそうですよ!

 

書名:第七官界彷徨
著者:尾崎 翠
出版社:河出書房新社

 

3番目のバトラーは、皆さんご存知ラーニングコモンズコンシェルジュの岩下さんです。 ご紹介された本は『第七官界彷徨』です。「彷徨」とはさまよい歩くさま、「第七官界」とは作者の造語なのか?分かりませんが、五官・第六感を超えた「人間の心に備わる何かを感じる」器官だとのことです。主人公の小野町子はこの『第七官』に響く詩を書きたいと上京し、兄や従兄と奇妙な同居生活を送ります。「第七官」の正体は最後まで明かされませんが、岩下さんは「この作品を読むことが『第七官界』をさまようようなことなのではないか」と感じたそうです。また、この作品の初出は1933年とかなり昔ですが、現在でも共感できるような内容と詩のような繊細な言葉遣いがおもしろい作品であるとのことでした。

 

書名:論理哲学論考
著者:ヴィトゲンシュタイン,ルートヴィヒ
出版社:社会評論社

 

本日ラストのバトラーは、松野智章先生です。『論理哲学論考』を紹介くださいました。 著者が「この一冊で哲学を終わらせる」とした本著。全部で7章からなる文章は、命題6-4までは論理的内容、以降は倫理的内容(生きることの価値)について述べられているとのこと。 特に最後の7章は「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」という一文のみ。非常にシンプルですが、様々に読み取れるそうです。松野先生は「この一文は、論理的に語ることができないようなものには価値がないと読みとることできるし、または、倫理的なことは口で語ることではなく態度でしめされるべきだという主張が込められていると読むこ とも可能で、いろいろな解釈を生むスゴさがある」とおっしゃっていました。 著者はどのような目的で書いたのかという質問に対しては、研究者が100人いれば100通りの解釈があり実は分からない、著者が本当に伝えたいことは霧の中であると回答くださいました。翻訳したときのニュアンスは翻訳者によって様々であり、ヴィトゲンシュタイン研究の解釈の差は埋まらないそうです。ちなみに松野先生の解釈は「松野シュタイン」、同じくヴィトゲンシュタイン研究をされている本学教授星川啓慈先生の解釈は「星川シュタイン」になるそうです(笑)。様々な出版社から刊行されている『論理哲学論考』を読み比べてみても興味深そうですね。

 

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▲松野先生の言葉に熱心に耳を傾けるオーディエンスの皆さん。

 

以上4冊の紹介本が出そろったところで、投票に移ります。それぞれの発表を聞いて「一番読みたくなった本」に一票を投じていただきました。

厳正なる投票の結果、今回のチャンプ本に選ばれたのはさいくささんオススメの『むかしばなし』に決定しました! さいくささん、おめでとうございます!!

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▲『むかしばなし』とさいくささん

 

それでは、さいくささんへのインタビューをご覧ください。

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Q:ビブリオバトルへの参加は何回目ですか?

A: 3回目

Q:この本を選んだきっかけは?

A:本屋で何気なく手にとった本が今回のテーマに合いそうだったから。

Q:今回の勝因は何だと思いますか?

A:本がわかりやすい内容だったから。

Q:最後に一言どうぞ!

A: もっとビブリオバトルに参加してくれる人が増えればと思います。

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さいくささん、インタビューありがとうございました!あらためておめでとうございます!! というわけで、次回開催のお知らせです。

 

【次回のビブリオバトル】

日時    :12/16(水)13:30~
テーマ   :故郷(ふるさと)
申し込み方法:T-Po

今年最後のバトルは冬休み直前! 帰省するあなたも実家住まいのあなたも、それぞれ思い浮かべる「故郷 ふるさと」について本を紹介してみませんか? 興味のある方は、ぜひ見学にお越しください! ビブリオバトルについて質問がある方は、ラーニングコモンズのコンシェルジュにお気軽にお声掛けくださいね。

 

それではまた~! ヾ(*’▽’*)o

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