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ラーニングコモンズのブログ
【学生発レポート】テーマ→「さかな」で知的書評合戦ビブリオバトル
はじめまして、こんにちは。学習サポーターの人文学科・日本語日本文学コースの中村です。
前回初めてビブリオバトルを観戦し、遅まきながらその面白さを体感しました。今回はブログを通して、皆さまにビブリオバトルの様子をお伝えしていきたいと思います!
さて、今回のテーマは「さかな」です。「さかな」とひとくちに言っても、海のいきものとして広く扱うもよし、あるひとつの「さかな」に絞ってもよし、はたまた「さかな」のように見えるものでもよし……。
私は「さかな」といえば「さんまの塩焼き」がまっさきに浮かぶのですが、出場者の方々はどんな「さかな」を思い浮かべたのでしょうか。
飛び入り参加でトップバッターとなったのはITO(イトウ)さんです。ご紹介の本は『人魚の森』。
書籍名:人魚の森
著者:高橋留美子
出版社:小学館
『犬夜叉』などで有名な高橋留美子の作品で、人魚の肉を食べて不老不死になった湧太(ゆうた)と真魚(まな)が旅をする物語です。ご紹介いただいた本以外にも同シリーズで『人魚の傷』『夜叉の瞳』が出版されています。見どころは、「不老不死になるために人魚の肉を探す」のではなく「不老不死になったふたりは、どのように死へ向かうのか」が描かれていることだそうです。ITOさんは「人魚はただ美しいだけでなく、恐ろしさも持つものだと思わされた」とおっしゃっていて、私も人魚に対する考えを改めたくなりました。
次の発表は、前回のブログ執筆者の岡上さんです。ご紹介の本は『夜は短し歩けよ乙女』。
書籍名:夜は短し歩けよ乙女
著者:森見登美彦
出版社:角川グループパブリッシング
偶然を装い、後輩の女の子の行く先々に現れては、彼女のために奮闘する先輩の物語です。実は、私はこの本を読んだことがあり、そのとき「さかな」のイメージがなかったので少し驚きました。ですが、第二章の「深海魚たち」で「本を求めて我慢大会をするシーンの、薄暗い照明の中を行ったり来たりする姿はまさしく深海魚だ」という説明で納得しました。
ちなみに、岡上さんは文庫版の表紙より単行本の表紙がおすすめだそうです。後輩の女の子を追いかける先輩の様子が見て取れるのがいいんだとか。単行本はラーニングコモンズに置いてあるので、気になる方はぜひ!
続いて三人目はアダチクミンさん。ご紹介の本は『うんこがへんないきもの』。
書籍名:うんこがへんないきもの
著者:早川いくを
出版社:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
タイトルからして強烈なインパクトを誇るこの作品は、自分の糞を武器として戦う動物や、ある動物が食べ、排泄することで子孫を残す植物などの実態が、巧みな絵と文で描かれています。もちろんテーマの「さかな」も紹介されていますよ。アダチクミンさんは以前からなんとしてでもこの本を紹介したいと思っていたそうで、「我々の『うんこ感』は偏っているのではないか!?」と力説する姿はとても印象的でした。
ラストを飾るのは、異動のため図書館事務職員としては最後の参戦になる、いとうさんです。ご紹介の本は『日本の海はなぜ豊かなのか』。
書籍名:日本の海はなぜ豊かなのか(岩波科学ライブラリー)
著者:北里洋
出版社:岩波書店
いとうさんの紹介によると、世界の海の1パーセントにも満たない領海区域しか所持していない日本の海には、世界中の海洋生物のうち14.6パーセントもの生物が存在しているそうです。著者である北里先生は、地質学専攻を経て、現在は深海生物の研究をされているとのことで、その知識を生かして海のいきものの考察を描いています。
フルカラーで紹介されている「さかな」の中で、いとうさんが最も印象的だったのは、超深海に生きるクラゲだそうです。こちらの本は大学図書館三階に所蔵されているそうですよ!
さあ、全員の発表が終了しました。ギャラリーの方も含め、一人一票で投票を行います。
はたしてチャンプ本は……?
8票中3票で、アダチクミンさんの『うんこがへんないきもの』に決定しました!
今回の勝因は? との問いにアダチクミンさんは、「本が単純に面白いのが一番です」と回答をくださいました。私もこちらに投票させていただいたのですが、アダチクミンさんの並々ならぬ熱意も勝因のひとつではないかな、と思っています。
次回のビブリオバトルは2015/7/6(水)13:30~開催します(ご注意ください。日付変更しました!)。テーマは、チャンプ本を紹介して下さったアダチクミンさんのリクエストで「いきる」です。
どんなバトルになるのか、今からとっても楽しみです!
皆さんもぜひ参加してみてくださいね。
中村でした!