図書館・研究所知と情報の集約
ラーニングコモンズのブログ
ラーニングコモンズ・本棚情報局 vol.2
みなさんこんにちは、学習サポーターズ岩本です。4年生の方はそろそろ卒論の作成が佳境に入っているころだと思います。あと少し、頑張ってください!
さて、前回の本棚情報局が好評だったとのことで、シリーズ化が決定しました。今後、ラーニングコモンズにある素敵な図書をどんどん紹介して行きます。
今回から、一冊ずつの紹介とさせて頂きます。紹介する本が減った分、じっくりと紹介いたします。
それでは、今回みなさんに紹介する本はこちらです。
書籍名:自閉症だったわたしへ
著者:ドナ・ウィリアムズ
訳者:河野万里子
出版社:新潮文庫
臨床心理学科の方や、社会福祉学科の方、もしかすると教職コースの方は聞いたことがあるかもしれません。その名の通り、自閉症のドナ・ウィリアムズさんが書いた、幼少期から大人になり、自らの「生きる力」を取り戻すまでの自伝です。
もちろん、自閉症の実際について知りたい方にはオススメです。ただ、この本は、読み物としてとても面白い内容となっています。
この本では事実が淡々と述べられる形で記述されていますが、その事実が、定型発達(いわゆる”普通”)の私たちにとって、およそ経験することのできない、とても興味深い内容になっています。そして、暴力的な母親による連日のいじめや、学校でも誰も味方になってくれない現実。そんな中、社会に適応しようとして作られた“ウィリー”と“キャロル”の二つの人格。その時々によって表出するその人格と、時折現れる”ドナ”。ドナが成長の過程でそれらの人格とどのように関わっていくかという心の動きは、創作小説のような読み応えがあります。
この本はまさに、事実は小説よりも奇なりを地で行く本なのです。
全く勝手な考えなのですが、私は未知なることを知ったり、体験したり、読んだりするのが一番面白い、楽しいことだと思っています。そんな私にとって、この本に書かれているドナ・ウィリアムズさんの人生は、不思議なことばかりでとても楽しかったです。
自閉症の人が見る世界という視点でも楽しめますし、海外の人たちがどのような社会環境で働いているのか、といった視点からも楽しむことができます。例えば、この本にはたびたびトレーラーハウスが出てきます。また、15歳でドナは仕事ができる年齢ということで、仕事を始めます。高校に行かないというのは、今の日本ではあまり想像しやすい人生ではありません。そういった面でも、十分楽しめると思います。
そのため、自閉症なんて初めて聞いた、自閉症は聞いたことはあるけど詳しい事は分からない、という方にもおすすめの本です。特に、臨床心理学科、社会福祉学科といった学科の方はぜひ一度読んでみてください!面白いですよ!
また、『自閉症だったわたしへ』は、2巻3巻と続刊しています。ラーニングコモンズでは3巻までちゃんと所蔵していますので、ぜひ貸し出しにお越しください。もちろん、『自閉症だったわたしへ』は、1巻完結の本として楽しむこともできます。
『自閉症だった私へ』はラーニングコモンズ右から5つ目の本棚、上部に所蔵しています。
では、ラーニングコモンズでみなさんが来るのをお待ちしております!
執筆:学習サポーターズ岩本龍太