図書館・研究所知と情報の集約
ラーニングコモンズのブログ
2017年12月13日・ビブリオバトルレポート!
皆さんこんにちは!
学習サポーターズの中村です。
ブログを書くのは1年ぶり!
ビブリオバトルでバトラーをするのは1年半ぶり(くらい)!!
そんな中村が、
12月13日(水)に開催されたビブリオバトルの様子を
お伝えしていきたいと思います。
本日のテーマは「フリー」。
なんでもありです。その本が好きならOK。
自由すぎて逆に悩みました……。
でも久しぶりのバトル参加、本屋さんをうろつくときからワクワクしちゃいました!
バトラーの皆さんも、渾身の一冊をお持ちくださいましたよ!
まず一人目はわんこさん。
前回もトップバッター、しかもチャンプ本紹介者です。
ご紹介は『霧中進行』。
作品名:霧中進行
作者:瀬野反人
作品URL:https://sennonaclhpa.wixsite.com/naclhpa/—-
なんとこちらはwebマンガ!
書籍化もされておらず、ホームページのみで公開されています。
瀬野反人さんは『残念博士』『おばあちゃんとゲーム』など
シュールギャグを中心に描かれている方だそうですが、
『霧中進行』はSFの要素も感じられる暗めの作品とのこと。
舞台は信じたことが現実になる世界。
風船で空も飛べるし、ワニが人間のようにしゃべる事もできる。
ただし、それは信仰する宗教の中での「現実」で――。
わんこさんはある実験のエピソードを紹介してくれました。
青いボールを「何色に見えるか」と聞いたとき
サクラの何人かが「赤」というと
「青」だと思っていた人が同調し、ボールが「赤」になってしまう、というもの。
また、そこに住む大多数が「定型」と呼ばれ、
それに当てはまらないものは「不定型」と呼ばれるという設定もあり、
単純なSFものとは定義できない、風刺的な要素が光ります。
私もバトル終了後に読んだのですが、
「現実」の脆さを感じてぞくっとしました。
webマンガなので気軽な入りやすさもありますね。
まだまだ連載中で、謎が謎を呼び、引き込む展開が繰り広げられています。
追いかけ始めるなら今かもしれません!
次に発表するのは私、なかむら。
緊張によるハイテンションで紹介するのは、
相反してローテンション気味なギャグマンガ、『しをちゃんとぼく』。
小学生の男の子「ぼく」が出会ったのは「不死者」だった!?
「死を失いし者」通称「しをちゃん」は、「ぼく」や「ちかもとさん」とともに
埼玉県の架空の市でちょっとグロテスクな日常を過ごします。
もともとはwebマンガのサイトで連載していたものなので、
偶然にもわんこさんとはwebマンガつながり。
不死身といえば、恐ろしいとか羨ましいといったイメージを持たれがちですが、
しをちゃんは少し違います。
死なないから、「注意力」が欠けているのです。
転倒しようと轢かれようと海に沈もうとお構いなし。
何百年も生きているからこそ、現代のルールが分からなくなって、
赤信号を悠々と進んだりしてしまうのです。
私はこの作品の魅力は、もちろんしをちゃんにもありますが、
「ぼく」の静かなツッコミにあると思います。
あまりに不注意で、すぐに死んでしまうしをちゃんを哀れに思い、
子どもながら(だからこそ?)優しく気遣ったツッコミをするのです。
物語中盤に登場する「ちかもとさん」も、これまたいとおしくなるキャラクター。
ちょっとグロテスクなのに、なぜかほっこりする。
『しをちゃんとぼく』の不思議でおかしなお話を、ぜひ読んでいただきたいです。
……まあ当たり前なんですが、
発表よりブログに書いた方がうまくまとめられるの、悔しいです。
さあ続いては、いじちさんです!
前回に引き続き、硬派な小説をおすすめしていただきました。
タイトルは『血の味』。
作品名:血の味 (新潮文庫)
作者:沢木耕太郎
出版社:新潮社
「中学三年の冬、私は人を殺した」
強烈な一文が幕開けとなり、物語は20年前の回想という形で始まります。
主人公は、選手として期待されていた走り幅跳びが突然できなくなり、クラブ活動を引退。
受験勉強に明け暮れる日々を送るようになったころ、女装姿の男性と出会います。
「勇敢である」ということを理想とした主人公は、
男性が昔プロボクサーだったと知って、関心を持つようになるのですが――。
作者の沢木耕太郎さんは、ノンフィクション作家として有名な方で
『血の味』は初めてのフィクション小説。
もともと作者さんをご存じだったいじちさんは、そこに興味を持って手に取ったそうです。
男を刺した主人公が、後戻りできないと思うシーンは特に印象的だったとのことでした。
いじちさんはこの本を「青春小説です」と紹介してくれました。
主人公が「ここにいるのにここにいない」と言われる場面には、共感を覚えたそうです。
殺人というほの暗い印象こそあれど、思春期特有の痛いくらいの若さが、この本には詰まっている。
その息苦しさは、多くの人が経験するものなのかもしれません。
バトル後に冒頭だけ読ませていただいたのですが、
もともとノンフィクション作家さんだからなのか、わりとあっさりした書き口に感じました。
いじちさんも読みやすさから今回のおすすめに至ったとおっしゃっていたので、
気になる方はぜひ!
トリを飾るのは、もろみざとさん!
「前回ファンタジーだったので、今回はちょっと違ったものを」とおすすめしてくださったのは『身近にある毒植物たち』。
作品名:身近にある毒植物たち
作者:森 昭彦
出版社:サイエンス・アイ新書
内容は図鑑に近く、タイトルの通り、身近な毒植物がたくさん登場します。
毒植物によってどんな症状が出るのか、どんな事件が起きたか、対処はどうすればいいのか……。
さらに毒植物の見分け方まで、全ての植物が写真付きで解説されています。
文部科学省のデータが引用されたりもしているそうなので、信頼度はお墨付きです!
もろみざとさんはもともと専門書や植物の毒に興味があって手に取ったとのこと。
専門書が気になる気持ち、分かる気がします。
知っていそうで知らなかったことがたくさん書いてあるのは、なんだかわくわくしますよね。
毒植物、と聞くと、警戒色でちかちかするような、
おどろおどろしい見た目のものを想像してしまうのですが
むしろそういうものはあまり紹介されていなさそうです(「身近」で見かけないですもんね)。
私が一番驚いたのは、トマトやキャベツも毒植物の仲間ってこと!
食べ過ぎたりするとダメなんでしょうか。……気を付けます。
もろみざとさんがおっしゃっていた「毒は使い方によっては薬になる」という言葉が印象に残りました。
毒であっても、それがどういうものなのかをきちんと理解して、上手に付き合っていきたいですね。
面白くてためになる新書のご紹介でした。
私のような食い意地の張っているやつほど、読むべき本かもしれません!
これですべての発表が終了しました。
今回はどの本がチャンプ本になるのか? 私は票をもらえるのか?
全員で一斉に指をさします。
せーの!
5票中2票獲得で、今回のチャンプ本は
わんこさんの『霧中進行』に決定しました!
おめでとうございまーす!!
やはりわんこさんは強かった……。
ですが、今回はかなり票がばらけたように感じました。
かなり接戦だったようです。 私も一票はいただけました! やったー!
バトル終了後も本を貸し借りしながらのおしゃべりに花が咲き
とても和気あいあいとした雰囲気でした。
バトラー参加は緊張しますが、とにかく楽しいですね!
これで2017年のビブリオバトルは最後となりました。
バトラーの皆さんをはじめ、ビブリオバトルに携わった方、お疲れさまでした。 年度中の開催はあと1回だけかも……?
私はその後卒業してしまうので、寂しい気持ちでいっぱいです。
1、2、3年生はもちろん、4年生にもまだチャンスはあります!
ぜひ皆さんのおすすめの本を教えてください! ご参加をお待ちしております。
以上、中村でした!