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綜合仏教研究所

【ご案内】公開講座「バーヴィヴェーカの初期不二一元論批判―『中観心論』および『論理の炎』に見る「瓶空喩」をめぐって―」開催について

このたび本研究所では講師の先生をお招きし、ご講演いただきます。

予約不要および無料でどなたでも聴講できますので、ふるってご参加ください。

皆様のご参加をお待ちしております。

 

 

■日時 平成25年2月20日(水) 14:30~16:00

 

■場所 綜合仏教研究所研究室1(3号館4階)

 

■講題 バーヴィヴェーカの初期不二一元論批判―『中観心論』および『論理の炎』に見る「瓶空喩」をめぐって―
A Buddhist View of the Early Advaita Thought― The “pot-space” simile as introduced and criticized by Bhāviveka in his Madhyamakahṛdayakārikā and Tarkajvālā

 

■講師 何 歓歓 講師
     (中国社会科学院哲学研究所 助理研究員/
        東京大学大学院人文社会系研究科 外国人研究員)

 


 ■講義内容
 「瓶空喩」(ghaṭākāśadṛṣṭānta)は、初期ヴェーダーンタ派の学匠、ガウダパーダ(Gauḍapāda)の「不二一元」(advaita)論を特徴づける喩例として知られている。『アーガマシャーストラ』(Āgama-śāstra、別名『マーンドゥーキヤ頌』)の中でガウダパーダは、「瓶空喩」を適用する際に、なにゆえ「不二」のアートマンは、変化することなく「二」の個我(jīva)を生じるのかを論じる。一方また、これとはやや異なる意味合いをもつ「瓶空喩」がバーヴィヴェーカ(Bhāviveka)の『中観心論』Madhyamakahṛdayakārikāに見いだされる。すなわち、第八章の「ヴェーダーンタ[派]の真実の[批判的]確定」(Vedāntatattvaviniścaya)においてである。この章の前主張(pūrvapakṣa)で著者のバーヴィヴェーカは「瓶空喩」を紹介し、後主張(uttarapakṣa)の中でその「瓶空喩」等に批判を加えている。
 たしかに、「ヴェーダーンタ[派]の真実の[批判的]確定」章の前主張内の第9−12偈と『アーガマシャーストラ』第3章の第3−6偈には、いくつかの表面的な類似性がある。例えば、両書ともに「虚空」と「瓶」などの喩例的な要素を含んでいる。しかしながら、実際には二つの「瓶空喩」の意味と目的はかなり異なるのである。後主張の第63−67偈の中でバーヴィヴェーカは、ヴェーダーンタ派が説く意味での「瓶空喩」ではなく、むしろ虚空(ākāśa)のみに焦点を当てて批判している。彼は「虚空」(外の空)と「瓶空」(瓶の中の空)との関係に論及しないばかりでなく、ガウダパーダの「不二一元」論にも関心を示さないのである。
 それゆえ、二つの「瓶空喩」にみる類似点と相違点とを比較考察することによって、未解決の興味深い問題が浮かび上がってくる。すなわち、バーヴィヴェーカが紹介する「瓶空喩」は『アーガマシャーストラ』のそれに忠実に従うものであるのか? 忠実に従うものでないとした場合、両者は厳密にどのような点で異なるのか? バーヴィヴェーカが「瓶空喩」に批判を加えるとき、はたして彼はガウダパーダの思想を念頭に置いていたのであろうか? なにゆえバーヴィヴェーカは「瓶空喩」全体ではなく、虚空(ākāśa)のみに焦点を当てたのか? 彼がヴェーダーンタ派の「瓶空喩」を紹介し、批判した目的は何であったのか? バーヴィヴェーカの年代(490-570頃)によって、ガウダパーダの生存年代を推定できるであろうか?等々の問題である。
 本発表では、バーヴィヴェーカが初期のヴェーダーンタ思想を紹介・批判する具体的な方法とその背景を検証するために、『中観心論』とその注釈『論理の炎』の第8章の分析をとおして、以上のような関連する複数の問題を考察し、基本的な回答を提示したい。

 

■講師紹介
何 歓歓 (HE Huanhuan)
1983年中国にて生まれる。
2011年北京大学哲学系にて博士号を取得。同年、北京大学において北京大学優秀博士学位論文賞(哲学科最高位)を受賞、2012年に北京市教育委員会において北京市優秀博士学位論文賞(哲学科最高位)を受賞する。
2011年7月より、中国社会科学院哲学研究所に所属。助理研究員として、現在に至るまで、研究活動を続ける。また、その傍ら、2012年4月に来日。東京大学大学院人文社会系研究科にて外国人研究員として、更なる研鑽を積んでいる。

 

 

【問い合わせ先】大正大学総合仏教研究所事務局 03-3918-7311( 代表)
 

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