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綜合仏教研究所
【開催御礼】公開講座「大震災後のネパールの現状」について
綜合仏教研究所では、平成28年2月22日、種智院大学准教授であるスダン・シャキャ先生を講師にお招きし、標記の講座を開催いたしました。ここに、講義の様子をレポートいたします。
(以下、研究所研究員による、聴講レポートです)
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今回は、スダン・シャキャ先生より、大震災から間もなく一年を迎えようとするネパールの現状について、様々な場所の記録写真を交えてご報告いただきました。
前半は、ネパールの人々の心の拠り所となっている仏教遺跡周辺の様子を中心にお話し下さいました。場所によって被害の状況は異なるものの、甚大な被害を受けた仏教遺跡もあり、震災前と比較して景色が一変してしまった地域を目の当たりにしました。また、仏教遺跡の周辺施設や土産店を営むレンガ作りの住宅には、全倒壊も多く見られ、今なお復旧作業が滞っている現状を知りました。
しかし、そのような困難な状況にも関わらず、仏教に対する信仰を胸に復興へと歩みを進める人々の姿も随所に見られ、震災の爪痕の残る広場で無邪気に遊ぶ子供たちの写真は印象深いものでした。
後半は、文献学者としての先生の仏教写本保存活動についてご紹介いただきました。ネパールのNational ArchivesやKaiser Libraryには貴重な仏教写本が保存されていますが、それらの貴重文献も震災の被害を受けており、未整理の状況であることをご報告いただきました。
このような状況下、先生は、個人所蔵の写本を始めとするネパール現存の仏教写本の調査、およびデジタル化に関する活動を進められており、その一端をご紹介いただきました。しかし、このような活動には、ネパールの人々の仏教写本に対する篤い信仰ゆえの障壁もあり、活動の意義を理解してもらうことが大前提となることを痛感致しました。
貴重なご講義をしてくださったスダン・シャキャ先生に感謝を申し上げますと共に、大震災で被害を受けたネパールの皆様に、心からのお見舞いと一日も早いご復興を祈念申し上げたいと存じます。
(スダン・シャキャ先生によるご講義の様子)
(先生ご自身のご経験を通し、被災地の現状をご報告くださいました)
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以上。 研究所研究員による、レポートでした。
スダン・シャキャ先生をはじめ、ご来場いただいた皆様に厚く御礼申し上げ、ご報告にかえさせていただきますと共に、このたびの震災で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げ、被災地の一日も早い復興を、お祈り申し上げます。
綜合仏教研究所事務局