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綜合仏教研究所
【開催御礼】公開講座「デジタル時代の仏教文献の扱い方/大学における貴重資料のデジタル化から利用・公開までの考え方」
綜合仏教研究所では、2月9日に、永崎研宣先生(一般財団法人人文情報学研究所)、入江伸先生(慶応大学メディアセンター本部電子情報環境担当)をお迎えし、標記の講座を開催いたしました。以下、西野翠研究員の報告レポートです。
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綜合佛教研究所では去る2月9日、「デジタル時代の仏教文献の扱い方/大学における貴重資料のデジタル化から利用・公開までの考え方」というタイトルで公開講座を開催いたしましたところ、大勢の皆様のご聴講をいただきありがとうございました。
まさに日進月歩のデジタル時代において、研究者の文献・資料の扱い方も年々進化し、いまや「どこでも、誰でも、自由に効率よく情報を取り扱える」という状況にあります。そうしたなか、研究者は如何に情報にアクセスし、またどのような点に注意を払わなければならないのか。そのようなタイムリーなテーマで行われた講演会は、二部構成で3時間に及ぶものでしたが、最後まで興味深く伺うことができました。
(第一部)
講師:永崎 研宣先生(一般財団法人人文情報学研究所) テーマ:デジタル時代の仏教文献の扱い方
永崎先生はSAT DB(2015年版)の使い方を中心に、仏教文献の扱い方について詳しくご説明くださいました。SAT DBが初めて登場したとき、「大蔵経百巻を持ち歩ける!」と驚歎したものですが、今や各種辞書機能(Digital Dictionary of Buddhism, Japanese Knowledgeなど)が付加され、検索した経文の単語の意味や英訳などpopup-windowに即座に示されます。さらに、漢訳の術語が不確かな場合には、英語を検索窓に入力して「Eng」ボタンをクリックすると、ウィンドウがポップアップしてDigital Dictionary of Buddhismの「英文意味情報」からの検索結果が表示されるのです。そのうえ、調べた単語に関連する書誌情報をBibliographical Databaseで検索でき、インド学仏教学分野の関連論文書誌データベース(INBUDS)の検索では全文PDFを即座に読むことさえできます。さらにまた、タブ切り替えによって海外の資料にもアクセスできるというのですから驚きです。会場で「おお!」という歓声が再三ならず聞かれたのも頷けます。これに加えて、昨年6月から公開されているSAT大蔵図像DBは「羅刹」などのキーワードを検索窓に入れると、関連の図像がずらっと並び、それらの中から特に興味のあるものを並べてポップアップして、自由に拡大し細部にわたり比較検討することができます。各図像に付されたタグを活用すれば、仏・菩薩像の髪型や持ち物など特定の要素で調べることも可能です。
このようなツールを生かして各人の研究がますます活気づき充実したものになることが期待される反面、あらゆる情報に目を向けて必要十分な資料を集めなければ論文が完成できないという恐ろしい面も生じていると言えそうです。
永崎先生は今回二度目のご登壇でしたが、これからも進歩の過程を追って、たびたびご講義をいただけたら幸いです。ありがとうございました。
(第二部)
講師:入江 伸先生(慶応大学メディアセンター本部電子情報環境担当)
「大学における貴重資料のデジタル化から利用・公開までの考え方」
e-Bookや電子書籍、電子出版といった言葉を日常的に耳にするようになった昨今、デジタル化の進展により出版事情も大きく様変わりし、紙の書籍が読まれなくなるのではないかと懸念されるほどです。こうした紙書籍のデジタル化の波を受けて、図書館はどのような方向に進もうとしているのか、気になるところです。
入江先生が関与しておられる慶応大学の図書館でも電子書籍の比率が年々上昇し、そのスピードはわれわれの想像をはるかに上回るもののようです。電子書籍の増加によって従来の蔵書スペースが不用となりますが、慶応大学ではそれを学生交流の場として活用しておられるとのことです。さらに、貴重資料などもデジタル化されて公開され、研究者に提供可能な方向に進んでいるようです。海外の大学・研究機関でも貴重資料・映像などのデジタル化が日本以上のペースで進み、居ながらにして世界中の資料を手にできる時代の到来も間近といえそうです。その一方、やはり紙媒体でなければ味わえない良さもあり、また紙書籍であるからこそ味読できるという面もあります。紙の書籍をスキャンする専用ロボットも実用化され、書籍のデジタル化は進む一方のようですが、やはり紙書籍の存在も重要であり、電子書籍と紙書籍の共存が可能な図書館であってほしいとの思いでお話を聞かせていただきました。入江先生、ありがとうございました。
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ご来場いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。
綜合仏教研究所では、今後も研究の第一線で活躍されている先生方を講師としてお呼びする予定です。予約不要・参加費無料ですので、皆様ぜひふるってご参加ください。
綜合仏教研究所事務局