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綜合仏教研究所
【開催御礼】公開講座「縁起説と未来原因説――ブッダとプラジュニャーカラグプタの因果論」
綜合仏教研究所では、11月24日(金)に、信州大学の護山真也先生を講師にお迎えし、公開講座を開催いたしました。
以下、小坂 有弘 客員研究員の報告レポートです。
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令和5年11月24日に、信州大学より護山真也教授をお招きし、「縁起説と未来原因説」という題で特別講義を行なっていただき、初期仏教から後期の大乗仏教、また日本の研究史までを射程にいれた広範な視点から、仏教の根本教説とも言われる縁起説の解釈史についてご教授いただきました。
講義において護山先生はまず、縁起説の初期仏教以来の定型句(「これあるとき、かれあり・・・」)を提示され、そして、十二支縁起の各支分の内容を解説されました。さらに、大正初期から昭和に至るまで日本の仏教学界を席巻していた「十二支縁起論争」について、その経緯とそこで提議された縁起解釈上の種々の論点について概説いただき、最後に、護山先生が長年研究を続けられているインド後期大乗仏教の学匠プラジュニャーカラグプタの、特異な縁起思想「未来原因説」について解説していただきました。十二支縁起論争は、日本で仏教学を学ぶ者なら、一度は耳にしたことがある、研究史上の重要な出来事でありながら、その極めて錯綜した論点のために、現代の研究者の中で十分にその研究史上の位置付けを説明できるものは少ない状況にあります。この論争の経緯と論点を簡潔に示した本講義を通じて、日本の仏教学がこれまでに歩んだ歴史的過程を振り返り、今現在の自分の研究がどのような流れの中に位置するのか、そんなことを考えさせられる非常に貴重な機会を得ることができました。このような講義を賜りました護山先生に心より感謝申し上げます。
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貴重なご講義を賜りました護山先生とご来場いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。
綜合仏教研究所では、今後も研究の第一線で活躍されている先生方を講師としてお呼びする予定です。
予約不要・参加費無料ですので、皆様ぜひ、ふるってご参加ください。
綜合仏教研究所事務局