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綜合仏教研究所
【開催御礼】特別講座「史料から見る南アジア古代・中世初期史」
綜合仏教研究所では、東京大学東洋文化研究所教授の古井龍介先生を講師にお迎えし、全7回の特別講座を開催いたしました。
以下、講座内容の概要です。
※講義レジュメから引用しております。
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第1回「イントロダクション―南アジア史の特徴と史料」:はじめに、本講座の内容、各回日程・講義テーマ、南アジア史の特徴―多様な環境と人間集団、南アジアの環境―地形と気候、南アジアの人間集団―文化・言語・生業、南アジア史の史料、言語・文字・媒体、史料
第2回「国家の登場から帝国へ―初期仏典とアショーカ碑文」:はじめに、国家の登場、十六大国、王国とガナ・サンガ、帝国への成長、マガダの台頭―アジャータシャトルからナンダ朝、マウリヤ朝の帝国、帝国の完成と統合への努力
第3回「遊牧勢力と海洋交易―外来勢力碑文・貨幣と『エリュトラー海案内記』」:はじめに、前回のおさらい、マウリヤ朝後の南アジア、ギリシア勢力・イラン系遊牧勢力の進入と文化的影響、インド・ギリシア人勢力の進入と相互の文化的影響、イラン系遊牧勢力の進入と相互の文化的影響、インド洋交易の隆盛と在地社会、『エリュトラー海案内記』の描くインド洋交易、インド洋交易と在地社会の関わり、まとめ
第4回「規範の形成―グプタ朝碑文・銅板文書とダルマシャーストラ」:はじめに、前回のおさらい、クシャーン朝支配の後退とグプタ朝の台頭、グプタ朝の覇権とブラフマニカルな王権モデルの確立、サムドラグプタの征服事業とグプタ朝による政治体制、社会規範の形成と現実への対応、ダルマシャーストラの規範―ヴァルナーシュラマダルマ、現実への対応―諸社会集団の位置づけと新事象の受容、まとめ
第5回「中世初期への胎動―バーナ『ハルシャチャリタ』と玄奘『大唐西域記』」:はじめに、前期のおさらい、グプタ朝衰退後の政治状況、ハルシャ支配下の政治体制―銅板文書とバーナ『ハルシャチャリタ』、ハルシャの銅板文書、バーナ『ハルシャチャリタ』、ハルシャ支配下の政治体制―『大唐西域記』『大唐大慈恩寺三蔵法師伝』、玄奘の記述と史実、ハルシャ支配下の政治秩序の表現(カーニャクブジャでの法会・仏像の行列・プラヤーガでの無遮大会)、まとめ
第6回「地域王権の興亡―プラティハーラ朝・パーラ朝・ ラーシュトラクータ朝碑文とアラビア語地理誌」:はじめに、南アジアにおける中世初期、プラティハーラ朝・パーラ朝・ラーシュトラクータ朝の登場と抗争、同一事件の表象と共有される王権観(三王朝の頌徳文)、パーラ朝(単一主題の反復)、プラティハーラ朝(武勇と武功の強調)、ラーシュトラクータ朝(表徴と帝国像)、外からの目による補完(アラビア語地理誌による三王朝の記述)、まとめ
第7回「「カースト」と「ヒンドゥイズム」の萌芽―ダルマニバンダとプラーナ」:はじめに、中世初期の変化(社会と宗教)、ブラーフマナ(移住・アイデンティティー強化・ネットワーク形成・権威確立)、「カースト」の萌芽(世襲職能集団のジャーティ化と体系化の試み)、世襲職能集団の活動(碑文の記述)、ブラーフマナの対応(体系化の試み)、「ヒンドゥイズム」の萌芽(在地神格の再定義と祭礼の再編成)、在地神格の吸収と再定義(碑文に表れるシヴァ派の女神とシヴァの顕現)、祭礼の再編成(土俗的要素の吸収とブラーフマナの参画)、まとめ、全体のまとめ(南アジア古代・中世初期史と史料)
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貴重なご講義を賜りました古井龍介先生とご来場いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。
綜合仏教研究所では、今後も研究の第一線で活躍されている先生方を講師としてお呼びする予定です。
予約不要・参加費無料ですので、皆様ぜひ、ふるってご参加ください。
綜合仏教研究所事務局