学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

仏教学コース

【仏教学科教員リレーメッセージ】野口圭也先生

仏教学部・仏教学研究科の皆さん 

 今年三月末日で定年退職した、仏教学コースの野口です。四月からは非常勤講師として、大学院の授業とチャレンジプログラムを担当することになっていました。学部の皆さんには、去年までも授業でお目にかかることはほとんど無かったのですが、私からも皆さんへの応援のメッセージを送ります。 

 

学部の皆さんへ 

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。大正大学での学生生活が、このようなイレギュラーなスタートになってしまったことは、本当に残念でした。せっかく希望を抱いて入学したのに、授業はもちろんのこと、運動部も含めた課外活動も行うことができず、心配事の多い毎日と思います。必ず校舎で授業が行える日が来ます。それまで、健康に十分に気を配り、大学に入学した目的を実現するための準備を進めておくことが大切です。 

四年生の皆さん、大学最後の年、一日いちにちが貴重な学生生活の日々なのに、友人とも会えず学校にも来られずで、ストレスが溜まっていることでしょう。 

今はいろいろな形でお互いやりとりしたり情報交換することが可能になっていますが、直接会って、話をすることができないので、卒論や就活にすごく不便と不安を感じていると思います。 

他の先生方も仰っておられる通り、この機会を何とか逆に自分にとっての有益な時間に換えて下さい。卒業して社会人になったら、自由に時間を使うことが難しくなってしまいます。普段は読む気にならない分厚い本を読んだり、テレビやパソコンで映画やコンサートを見たり、早々と卒論の準備を始めたり、いろいろなことをやってみて下さい。 

そんなことを言っている私は、この期間を使って溜まっていた原稿を書こうとしているのですが、昼間は三歳の孫の相手をしていて、一緒におままごとをやったりお絵描きしたりていると三歳児と同化してしまって夜はすぐに眠くなってしまい、全然はかどりません。何とか授業が始まるまでには片付きそうです。と言っても、締め切りもう半年も過ぎているので、皆さんは決してマネしないでください。 

 

空手道部の諸君へ 

 2年生以上は送別会で会って以来、新入生は去年の入試で会って以来になります。大学の道場での稽古がずっと休みになっているので、調子を整えるのに苦心していると思います。関東大会が中止で、東日本も全日本もどうなるか分からない状態ですが、空手道の精神は、こういう時にこそ発揮されるはずです。メンタルも含めた基礎トレーニングなど、一人でもできる稽古があるはずですから、それに励んで下さい。もちろん勉強にも。 

 

大学院の方々へ 

 今年は大学院の授業を2コマ担当します。オンライン授業を行うのはもちろん初めてなのでかなり不安もありますが、受講される皆さんと一緒に何とか授業を作っていきたいと思っています。 

自分の研究をスタートしようにも、図書館も閲覧室も使えないので、資料探しに苦労しておられることでしょう。この際なので、データベースなどで入手できる先行研究や資料を集めて、それらを熟読する一方、特に修論の方は自分の論文をどのように組み立てていくか、じっくりと考えてプランを練って下さい。何を明らかにする研究なのか、という一番の根本を確立することが大切です。 

 資料全部揃えるまで待っていたら、間に合わなくなってしまいます。幸いデータのやりとりで論文指導も可能ですから、いろいろなツールを有効に使って、やれる事から、いま始めましょう。 

 

すべての皆さんへ 

 感染の終息までには、まだしばらく時間がかかると思われますインド仏教では「時実在論批判」という主題があります。時間を固定的・絶対的なものとはとらえず、相対的な、超越可能なものと考えていたようです。法要や修法や瞑想は、本来はその中では時間が存在しないもの、時間を超越したものだったのではないでしょうか。気が付いたら、もうこんなに時間が経っていた、という経験は誰もがあると思います。待つ時間は本来的に退屈なもの、無駄なものなのではなく、それを退屈な時間にするのも無駄な時間にするのも、すべては時間を実際に使う自分次第なのです。 

話が長くなりました。どうか体調に十分に気を付けて、大学での授業が始まった時には、すべての皆さんが元気に教室に来られることを心から祈念しています。 


令和2年4月30日
野口圭也

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