学部・大学院FACULTY TAISHO
仏教学コース
【無憂華 プロジェクト】川﨑啓史さんからのメッセージ
川﨑 啓史(かわさき ひろふみ)
2011年度仏教学科仏教学コース 卒業
兵庫県出身。在学中に発症した急性リンパ性白血病を克服し、国体出場。
現在カヌー競技会の運営に携わる。大阪府カヌー協会理事。
2011年度卒業生の川﨑啓史です。
私は高校からカヌースプリント競技をしており、スポーツ推薦で大正大学に入学し仏教学科に籍を置いていました。
何人かの友人もでき、学業の方も単位取得をこなして充実した東京での一人暮らしをしていました。
しかし、3年生の秋に『急性リンパ性白血病』を発症しました。
そこから半年間の入院、2年半に及ぶ投薬治療を受ける生活を送りました。
さらに経過観察を2年続けて、元気になることができました。
卒業後は、5年生存率30%であるため、体の療養を優先させ、就職活動はしませんでした。
そして発症から10年を迎えた昨年、大阪のアウトドアスポーツの会社にエリア社員として入社することができて、現在販売員として働いています。
今、私から仏教学科の皆さんに伝えられる事は、
自分が普通に生きている今日という1日は、もっと生きたいと願いながらも生きることのできなかった人の1日と同じ重さがあるということです。
つい1日ぐらいと考えがちですが、1日でも生きたいと闘っている人にとって24時間はどんなに貴重な時間になるでしょうか。
そして、誰にも明日には何が起こるかなんてわからないのです。
だからこそ、この一瞬一瞬を精一杯、有意義に生きていくことが大切だと、私は思います。
仏教学科の皆さんは学びの中で、「生」と「死」について触れることも多いかと思います。
その機会を逃さず、自分なりに受け止めて考えることをしてください。
そして、生きていると言う事は何事にも変えがたい大切なものであると考えてほしいと切に願っております。
秋になると大学の銀杏を思い出します。その頃には、皆さんも大学に通えると思います。
お互いに頑張りましょう。
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最後に川﨑啓史さんのプロフィールを助手池田よりご紹介します。
今回、この無憂華プロジェクトを立ち上げ、仏教学科にご縁のある方々のメッセージを紹介することで、仏教学科をより知ることができ、これからどんな未来を切り開くのかを考えるときに、どこかでお役にたてればと思いました。
コロナから受けた憂いをなくしていつか素敵な花を咲かせてほしいとの願いでした。
コロナではありませんが、すでに花を咲かせた卒業生を思いました。
それがこのメッセージをくれた川﨑さんです。
川﨑さんは、兵庫県の出身で、カヌーをするために大正大学に入学しました。
順調な学生生活の中、突然の発病、昨日までカヌーの練習に打ち込んでいたのに、突然、発熱と激痛に襲われたのです。
そこからの凄まじい闘病生活。
副作用でまつ毛まで抜けてしまい日光が眩しくていられない、味覚も臭覚も全くかわってしまうとおっしゃっていました。
検査も悲鳴をあげるほど痛いといわれます。
大学の状況は、単位はほぼ取り終えていたので、卒論を書けば卒業ができる状況でした。
無菌室からメールで先生の指導を受けていました。
卒論は「西国三十三カ所観音巡礼について」でした。
川﨑さんの出身が関西ということと、彼のご両親とご祖父様が仏教に関心をもたれていたとうかがっていました。
この三十三の観音様には闘病中から参詣していたそうです。
とくに二十一番札所の穴太寺には病気平癒の願いで足しげく通ったとのことです。
卒論も成し遂げ、半期遅れで卒業することができました。
卒業ができて良かったと思う一方で、思う存分カヌーをし、オリンピックの可能性も無きにしも非ず、
その全てを諦めなくてはならなかったことを思うと、どんなに辛く悲しかったかと。
その後、度々連絡はとっており、2015年病院へは行かなくてもよくなったとの本当に嬉しい報告がありました。
今では健康を取り戻し、再びカヌーと向き合っています。国体に出場し4位になりました。
また選手としてだけではなく、 J級審判員の資格を取得し競技会の運営にも携わり、今年から大阪府カヌー協会理事も務めているとのことです。
病気を克服し、大きな花を咲かせたのです。まだこれからも無憂樹のごとくたくさんの花を咲かせると思います。
仏教学科に所属するアスリートたちにも、この状況を克服し大きく羽ばたいてください。
また、メッセージにもあったように、明日何が起こるかわからない、怖いけれどそれに打ち勝つ心と身体を育んでいきましょう。
私たちが学んでいる仏教の教えの中に智慧があるに違いありません。