学部・大学院FACULTY TAISHO
国際教養コース
特別企画「学びの探索 教員版」第1回 倉西 憲一先生
大学HPの教員紹介よりも一歩踏み込んだ内容となっております。
高校までには居なかった、専門分野において突出した知識や経験を持つ仏教学科の先生たちを余すことなく紹介します。
学びの探索 教員版 №1
※「学びの探索 教員版」では、学科教員の研究の紹介や教員になった経緯などをご紹介します。
第1回は国際教養コースの倉西 憲一先生です。
私は小さい頃から文字に興味がありました。 特に、その形や役割についてです。平仮名、カタカナ、漢字だけでなく、アルファベットや、さらにはヒエログリフやハングルまで、さまざまな文字について調べたりしていました。中でも、悉曇文字(インドの文字・シッダマートリカー)を初めて見た時、その形の美しさに魅かれました。お寺のお墓に立っているお塔婆に書かれている文字です。その時、お寺の住職さんに、この文字について尋ねたところ、この文字はインドの文字で、サンスクリット語という言語とともに使われていることを教えていただきました。そこで、この文字だけでなく、サンスクリット語についても知りたいと思いました。中学生の頃でした。
また、ちょうど同じ頃に、インドの文字に興味を持った出来事がありました。テレビ番組の映画ロードショーで「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」を見た時です。インドのお城の中の秘密の通路、その入り口に壁画と悉曇文字に似たインドの同系統の文字(デーヴァナーガリー文字)が記されており、それをジョーンズ博士が読み解くシーンです。こうした十代に経験したことをもとに、インドの文字、言語、文化への興味を膨らませていきました。
インドの文化といえば、我々日本人にとって、仏教が最も身近であるといえましょう。 仏教系大学の大正大学に入った私は、そこで、初めてサンスクリット語の授業を受けました。授業で習うことだけでなく、もっと多くのサンスクリット語の文献に触れたいと思い、神保町の古本屋で山積みになっていたインドの刊行物、サンスクリット語の書籍の中から、中身もわからず、無作為に1冊を選びだしました。授業で使っていた簡略な文法書と辞書を使い、最初の文章から読み始めましたが、最初の一文でつまずいてしまいます。そこで、サンスクリット語の授業を担当していた先生に、授業後、聞きに行きました。その何もわからずに購入した書物は、偶然にも、その先生の専門分野(インド密教)の文献でした。そして、その後、その先生と毎週、さまざまなこの分野に関連するサンスクリット語の文献を読み、サンスクリット語を少しずつ習得し、その面白さに魅了されていきました。思い返せば、この幸運で、偶然の出会いが、私をインド密教の研究者にしてくれたと言えるでしょう。
倉西先生の経歴やご専門についてもっと詳しく知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。
https://researchmap.jp/K_Kuranishi_1974