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野田先生のカナダ紀行:2012年 第5回翻訳・通訳ワークショップ

去る、6月9日にカナダバンクーバーにて翻訳通訳ワークショップの5周年を記念して、一日ワークショップが開催されました。
ワークショップでは「OBASAN」の作者としておなじみのカナダ屈指の作家、ジョイ・ コガワ氏や、野田文隆先生による「精神医療・ことば・文化」についての講演が行われました。

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ジョイ・コガワ氏の書かれた「OBASAN」は1981年にカナダで出版され、ベストセラーとなりました。
第二次世界大戦時の日本人や日系カナダ人が体験した苦境を事実に基づいて書いたフィクションです。
カナダで生まれ育っている日系人は日本語も話せず、カナ ダ人でありながら日本の血を引いているために敵扱いされ、家や財産を取り上げられ、キャンプと言われる収容所におくられた様子が描かれています。
過酷な人生をそれぞれの生き方で乗り越えた「おばさん」達の生き様が伝わってくる一冊です。
ぜひ、みなさんも読んでみてください。

野田先生は1985年に研修医としてバンクーバーに移住しました。
バンクーバーの日系社会の中に「隣組」というコミュニティがあり、そこでカウンセリングサービスを開始しました。
その後、バンクーバー総合病院の中の「多文化外来」にて本格的に精神科医療を行うこととなり、一人の日本人主婦の診察に携わりました。
その主婦は「49日経っても亡くなった姑を納骨していないこと」への罪悪感と気分の落ち込みを訴えていました。
しかしカナダでは遺体は粉になるまで焼くのが普通であり49日に納骨する習慣がないため、カナダ人医師はこの主婦の訴えを「妄想」だと解釈しました。
日本人である野田先生は「49日・納骨」という文化を理解していたため、この主婦は「うつ状態」であると理解できました。
「私たちはいつも自分の文化の物差しで他の文化を測りがちである。だから文化を通訳するという作業がないと他文化理解は難しい」と野田先生は参加者に伝えていました。

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みなさんも「自分の文化の物差し」について少し考えてみてくださいね。

 

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