学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

国際文化コース

授業点描④

  

大正大学も12月24日の授業のあと、冬休みに入りました。

冬3.jpg街中クリスマスイブのデコレーション、そして明日からは冬休み、という気持ちが、教室をどことなく「祝祭的」な雰囲気にしていきます。カルチュラルスタディーズコースの授業にとっても、実りの多い一日でした。

以前も紹介したことのある「カルチュラルスタディーズ総論」。秋学期前半は学生の意見を拾い上げながらの講義でしたが、11月末から学生による発表が始まり、12月24日が発表の最終日でした。

授業での考察や自分の関心をもとに、学生たちがテーマを見つけて、自分自身の見解をプレゼンテーションするのです。発表時間は一人15分。発表を経験していないと15分は短い時間であると感じられるかもしれませんが、15分の発表時間をきっちり組み立てて、聞きごたえのある内容を用意するのは意外とむずかしいものです。

この授業を履修している学生は100人ほどになりますから、発表は希望者を募ります。みんなに自分の考察をぶつけてみたいという積極的な学生たちは、大勢の人に自分の考えを理解してもらうにはどうしたらいいか、真剣に考えます。相手に届くことばを探すことは、コミュニケーションへのファーストステップです。

発表の成果は発表者だけのものではありません。いっしょに学んでいる仲間が自分自身の研究成果を披露する姿に直接触れることは、聞いている学生たちにも、同様の疑似的体験を可能にするのです。発表者の緊張は、耳を傾けている学生たちにも伝染します。発表者の工夫は、聞いている学生たちのプレゼンテーション・スキルも磨きます。発表者の発見は、クラス全体の洞察力を刺激するのです。

一部ですが、学生による発表のテーマと考察のポイントを紹介します。

 ◆◆◆

●1980年代から2010年へ:音楽における若者の主張の比較研究

1980年代から2010年のあいだには、ちょうど一世代の隔たりがある。それぞれの時代を象徴するポップやロックの歌詞に注目して、若者の主張の変化と不変を検証する。

●都市伝説の文化的考察

都市伝説は参加型エンターテイメント、その時代、その社会の人びとが欲しているものを掬いとり、世相を反映しつつ、共有意識(sense of community)を作りだす。楽しみつつ、恐怖の要素、物語のアートも取り入れて、語られるたびに洗練られていく(urbanize)のが「都市」伝説。 代表的な都市伝説の成り立ちを分析し、都市伝説というメディアの文化的機能を考察する。

●時代とともに変化する方言の扱われ方

言語は情報の共有を可能にすると同時に、発話の差異も生みだす。どのような差異を重要視するかによって、その時代が注目する「方言」も変化。メディアに発達によって、言語が画一化する一方で、「若者ことば」など、地方による差異よりも世代や文化領域による差異へと移行しているのではないか。それぞれの時代が求める差異を可視化するものとしての方言を考える。

●結婚を表す記号のジェンダー・アシンメトリー
     
結婚式の宣伝なのに、広告の写真は花嫁一人、というのは珍しいことではない。「華やかさ」と「非日常性」をまとい、人びとの「あこがれ」を刺激しつつ、「白い非実用的なドレス」が結婚の記号たりうるのはなぜか。私たちの意識のなかに「テンプレート」として組み込まれたジェンダーは、「第二の自然」として作られた文化であることを検証する。
◆◆◆

 本当にさまざまな視点からの発表がありました。発表をした学生たちは準備に時間をかけ、大勢の聴衆を前にして緊張して、負担も大きかったことと思います。でも、クラス全員が記したコメントは、きっと確かな発表の手ごたえになったことでしょう。

発表をした学生も、発表を聞いた学生も、冬休みにじっくり自分のテーマを深めてくれることを願っています。❤❤❤ Happy Holidays!

GO TOP