学部・大学院FACULTY TAISHO
国際文化コース
授業点描⑤
新しい一年が始まりました。時間は人間の発明、と言われますが、時間の区切りがあるからこそ、さまざまな挫折を乗り越えて、新しいチャレンジに向かっていくことができます。希望と夢をリニューアルして、カルチュラルスタディーズコースもがんばります。
大正大学は1月7日まで冬期休暇中。それなのに授業点描? と思われたかもしれませんが、「異文化研究の発展」の受講生たちは、この冬休みに課題論文の執筆に取り組み、メールで提出をしました。授業担当教員が、届いた原稿を編集しているところです。
授業の課題論文、レポートほどpublicity(公表性)のない文章はほかにない、というのがこれまでの実態であったかもしれません。在学生、あるいは受験生のご両親の世代の方たちにとって、レポートの読者は書いた本人と受け取った教員だけ、ということのが往々にしてあったのではないか、と思います。これでは「いいレポートを書きたい」というモチベーションを高めるのは困難です。
カルチュラルスタディーズコースにとって「論文を書く力」はいわば「いのち」です。文章表現力がある、というような簡単なことではありません。テーマの興味深さ、シャープな考察の切り口、edgy(ゲスト講師にお迎えしたニューヨーク在住の氏家先生がさかんに繰り返された表現!)な論考、用意周到な論理の展開と説得力・・・、一朝一夕に身につけることも、自分ひとりで開発することもむずかしい力です。
論文を書く力を高めるために、不可欠なのが読み手の存在です。自分の書いた文章を読んで批評してくれる人がいない環境で、論文を書く力を養い、スキルを磨いていくことはできません。
だから「異文化理解の発展」は課題論文を公表します。たがいに読みあって、「興味深いところ」「伝わらないところ」「丁寧に論が展開するところ」「論理に飛躍のあるところ」を率直に言いあいます。仲間の優れたところを自分の力にしていきます。「学ぶ」とはまさに「まねる」こと、いっしょに学びあうからこその相互作用です。
人文学は究極の「実学」、といえないでしょうか。論をたて、ディスカッションをし、文章で表現することができるようになれば、その力をさまざま分野で応用することができます。最も汎用性の高い「実学」ということができます。教養のセンスを磨き、本当に役に立つ基礎力を身につけるために、今年も切磋琢磨したいと願っています。
カルチュラルスタディーズコースは「ディスカッションする力」「プレゼンテーションする力」「自分の考えを論理的に表現する力」など、発信力を高めることを目標にかかげています。でも、これは「目立ちたい」という自己表現願望とはかならずしも一致しません。むしろ、じっくりとものごとに取り組むタイプ、寡黙な探求心を持った人のほうが、このような力を発揮できるものです。
授業の枠を超え、学年を超えて、カルチュラルスタディーズコースに在学する学生が全員集まって、1月28日(金曜日)にシンポジウムを開催いたします。手探りですが、カルチュラルスタディーズコースの在学生たちが、自分の研究や取り組みを「発信」します。
また機会を改めて詳細なご案内をさせていただきたいと思いますが、学生が中心となって企画を進めてきた本年度の集大成です。在学生のご父母の方たち、カルチュラルスタディーズコースに関心を抱いてくださっている高校生の方たち、すでに行われた入学試験で合格し入学を待つ23年度新入生の方たちにも、ぜひご参観いただきたいと願っています。♪♪♪♪♪