学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

国際文化コース

カルスタのコミュニケーションガイダンス、そしていま

授業が始まって2週間がたちました。春3.jpg

カルチュラルスタディーズコースの新入生たちも大学生活になじんできた様子です。はりきって入学式にのぞみ、「大学入門1」でカリキュラムの内容や履修登録の方法を緊張して聞いていた新入生も、ずいぶんリラックスした表情になってきました。友だちもたくさんできたようです。いつも同じ教室にいた高校とは異なり、授業のある時間も一人ひとり異なります。ずっといっしょではないけれども、ゆるやかにつながりあって、いいネットワークが形成されているように思えます。

カルチュラルスタディーズコースのカリキュラムは、一年生の春学期が比較的ゆったりしています。全教員が担当する基礎ゼミを中心に、しっかりと授業内容をおさえてほしいからです。基礎ゼミは課題がたくさん出る科目ですが、全員がいっしょに取り組めるように、いっしょに学ぶことの楽しさが十分にわかるように、ゆっくりと進んでいきます。秋学期になると時間割がぐ~んと詰まってきますが、それに備えて、自分で課題をこなしていける力をつけたいと思います。

授業に先だって、カルチュラルスタディーズコースの新入生の交流を深めるために、コミュニケーションガイダンスが開催されました。2年生も多く集まり、新しいカルスタの仲間を歓迎しました。

カルチュラルスタディーズコースが新入生50名、2年生22名、そして副手、教員たちが加わって向かったのは昨年10月にリニューアルされた東京駅。欧米の文化を取り入れ、近代化を図ろうとした日本が、イギリスのヴィクトリアン様式を取り入れて建てたのが東京駅、関東大震災や第二次大戦を経て、失われていたドームがよみがえり、話題を集めています。洋風であることは、現代の日本の感覚ではもはやエキゾチックではありません。原宿ファッションも日本の発信する文化と認められるようになったとき、外国文化のコピーの意味も変わります。

気になる履修登録の状況を確認し、大学で少し早目の昼食をすませて、三田線で西巣鴨から大手町へ、そこからしばらく地下を歩きます。2年生が新入生を迷子にしないように、丁寧に誘導してくれました。

そして東京駅、3班に分かれ、東京駅内を案内してもらい、ステーションホテルのなかを見学させてもらいました。外観を見たり、歴史的なスポットに立ったりしたあと、全員でステーションギャラリーへ。木村荘八の展覧会が開催中で、アートとは何だろう、ということを考えながら鑑賞しました。駅という人が集まる場所に、ショッピングエリアができ、ホテルがあり、ギャラリーがある、という現代文化の組み合わせを、学生たちは不思議な取り合わせとしてあらためて実体験しました。130405_1305~02.jpg

さっそく見学した内容を文章で表現するという宿題にも取り組みました。そのなかから一つ、学生の作文を紹介します。

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「東京の歴史に触れた一日」

 私は東京駅を利用したことはありましたが、外観をじっくりと見たことはありませんでした。赤レンガやドームの造りなど、ヨーロッパの様式を取り入れて、外国に追いつこうとしていた明治時代の当時の様子が表れていると感じました。特に丸の内は赤レンガの建物が多く、「一丁ロンドン」と言われていたそうです。その時のイメージを受け継いでか、駅前にはイギリスで走っているような二階建てのバスが行き交っていました。しかし、駅構内のドーム内側にあるレリーフは、干支や兜型などをモチーフにしていて、外国の様式を取り入れつつ、日本ならではの物もうまく融合されていることを発見しました。そしてそれらが今回の駅舎復元によって、明治時代の設計に現代的なデザインが加わり、ますます建造物として趣のある物になっていると思いました。

 ホテルの中も英国風のデザインになっていて、窓から見える駅前から皇居までの景色が外国に来たかのように見えました。日本ではあまりない二階建ての客室や一泊80万円というロイヤルスイートルームなども見ることができて、とても貴重な体験になりました。

 ギャラリーには旧駅舎の赤レンガが残されており、ところどころ欠けていたり、色が変わっているレンガを見ると、東京駅の長い歴史が感じられます。ギャラリー再開記念の木村荘八展では、小説の挿絵や油絵が展示されていました。挿絵はペン一本で陰影をつけたり、紙を削って白い線を表現していて、色をつけず紙とペンだけで描いているのにとても見応えのある作品でした。新宿駅を描いた油絵は、道行く人や看板から当時の東京の様子が感じられ、映画のワンシーンのようで特に印象に残りました。

 今回復元された東京駅を見に行き、駅だけでなく東京の歴史も学ぶことができました。100周年を迎えまた次の100年まで、歴史を守りながら新しいものも取り入れる東京のエネルギーを象徴する東京駅も含め、東京の街が発展し続けてほしいと思います。

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さあ、いよいよ現代文化ってどういう成り立ちをしているの?ということを考えるカルチュラルスタディーズコースの学びのスタートです。

いっしょに、たくさんの疑問にぶつかり、たくさんの発見をしましょう。(写真は星川先生の撮影です)

伊藤淑子

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