学部・大学院FACULTY TAISHO
国際文化コース
漫画から考える1990年代
前回のブログで、本年度の卒業論文のタイトルを紹介しました。
多彩な題材を扱った研究が並びましたが、そのなかで特徴的なのは、1990年代に話題になった漫画作品、アニメ作品を研究対象にした論文が多いということです。
いま2014年、1990年代はほぼ20年前のことになりました。ようやく1990年代を客観的に分析する時間的な距離ができたということかもしれません。漫画で博士論文を書くこともめずらしくなくなり、学問的な裏付けも探しやすくなりました。卒業論文や修士論文に1990年代の漫画、アニメを取り上げる学生が多いのも、そのような背景があるからだと思います。
昨年度の論文ですが、「神話としての『美少女戦士セーラームーン』」と題して提出された論文が、最高評価を受けました。
本年度は、「消費される少女 ―「少女革命ウテナ」における学園―」、「『カードキャプターさくら』にみる恋愛の多様性」と、いずれも優れた論考が提出されました。
学部ではなく、大学院ですが、カルチュラルスタディーズの上の専攻である文学研究科比較文化専攻の学生は、「一般誌に掲載された『絶愛-1989-』から見るボーイズラブの関係性の変遷」 という修士論文を提出しました。【概要は大学院比較文化専攻のブログで紹介しています。⇒/education/grad_school/e-8/blog/2014/03/15-113758.html 】
上記の題材はすべて少女漫画に分類されるものですが、1990年代から現在も連載されている『ONE PIECE』を題材とした卒業論文もあり、まさに1990年代の漫画、アニメがいま、おもしろい、ということなのです。
「少女」が「戦闘」に駆り立てられ、ギリシャ神話と日本の少女が融合し、教師と小学生が恋をし、「お姫さま」ではなく「王子さま」になると少女が夢を見る・・・、同性愛というスタイルを用いて恋愛を描く作品を少女漫画誌が掲載する・・・、さまざまな興味深い現象が1990年代に起こったことが分かります。
カルチュラルスタディーズコースとして、伊藤ゼミを中心に、漫画、アニメから見る1990年代を、さらに発展的に継続的に考察していきたいと思います。
♪伊藤淑子