学部・大学院FACULTY TAISHO
国際文化コース
カルスタ漫画・アニメ・ゲーム研究会「トワイライト」の活動報告⑥
今年もあと数日になりました。2015年、カルチュラルスタディーズコースの学生たちも、よく頑張りました。
「トワイライト」の活動報告が届きましたので、紹介いたします。
●●●
こんにちは、MAです。今回は私が担当した回の報告をします。
今回は『パリ猫ディノの夜』を見て、議論しました。この作品はフランスで作られたアニメーション映画です。物語の舞台はパリ、作中にはエッフェル塔やノートルダム寺院が描かれています。実際に存在する建物や場所が出てくるので、「何だかすごいな、観光旅行をしているみたいだ」などと言いながら、鑑賞していました。日本のアニメでも実際する建物や場所が登場することがあり、日本のアニメの場合、特定の地域の風景が描かれるのは、あまり特別なことではないように感じます。でも、私たちにとってパリは遠い異国の地であり、自分の目で見たことのない国です。だからこそ。パリに実在する建物が画面に出てきたときに特別な感覚を覚えたのでしょう。
もしかしたら、海外の人にとっての日本アニメが、私たちにとっての『パリ猫ディノの夜』であるのかもしれません。見る者の経験や置かれた環境によって、作品に描かれる状況の意味が変化する、その可能性にあらためて気づかされました。
また、『パリ猫ディノの夜』の特性かもしれませんが、日本のアニメと比べて、異質な画面の描き方でした。日本のアニメは、登場するキャラクターの輪郭をしっかりと描こうとしていると思いますが、『パリ猫ディノの夜』の画面の描き方は輪郭がはっきりせず、そのため画面が、ある意味、大雑把な感じで、抽象的な印象を受けます。作家性の違いか、アニメ文化の国柄の違いか、同じアニメーションというジャンルに属していても、創作のバックグラウンドによって、アニメーションの雰囲気も変わってくるのでしょうか。国外のアニメーションを鑑賞する機会があれば、日本のアニメとどう異なるのか注意深く気にしたいと思います。アニメーションの表現方法などの違いから、国民性の比較などができたら面白いかもしれません。
●●●
金曜日の夕方、学生たちが集まって、映像作品を見ながら自由に議論しています。
そういう空間を、この報告を書いてくれたMAさんを中心に、学生たちが自主的に作っています。このような学生たちの活動から生まれる「ひらめき」が、カルチュラルスタディーズコースの「宝」です。「アニメ―ションから国民性」はとても大きなテーマですが、もっと具体的に、もっとたくさんの表現の分析を重ねていけば、興味深い研究に発展するかもしれません。これからもたくさん意見交換して、刺激的な時間を生み出していきましょう。
♪伊藤淑子