学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

国際文化コース

カルスタ漫画・アニメ・ゲーム研究会「トワイライト」の活動報告⑫

7月も後半に入りました。春学期の集大成の時期を迎えています。
授業のあとに集まって、研究会を開いてきた「トワイライト」の新しい報告が届きました。

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 トワイライトメンバーのT.Nです。今回は、筒井康隆の小説を原作とするアニメーション映画作品、『パプリカ』を視聴しました。

 『パプリカ』のテーマは「夢」です。医療研究所が開発した、他人の夢を共有することのできる「DC ミニ」というテクノロジーが盗まれ、その悪用を止めるため研究員たちが夢の謎の解明に挑む……というストーリーになっています。その中で主人公の千葉敦子が他人の夢の中に入る際に使用する別人格がパプリカです。基本的にパプリカは、夢の中のみの存在であるはずなのですが、敦子が覚醒しているときでも時折彼女の前に幻影のような形で現れ、敦子に語りかけます。このパプリカの存在が、トワイライトメンバーの間で議論を巻き起こしました。敦子とパプリカは元々同一人格であったのか、それともパプリカは敦子のアバターに過ぎないのか。その答えが作品内で明確に示されることはありません(人によって解釈も異なってくるとは思いますが……)。また、この作品における悪夢として夢の中に何度も登場する不気味なパレードもこの作品の象徴的な要素の1つです。メンバーで少し議論してみたのですが、このパレードが具体的に示すものが何だったのか、という疑問には決着がつきませんでした。人によって色々な解釈ができるので、答えと呼べるものがいまいち固まらなかったのです。

 作品全体に関してですが、視聴していて、どこからが夢でどこからが現実なのか徐々にわからなくなってくる、その感覚が楽しめる部分の1つだと個人的に思っています。現実だと思っていても本当は夢の中かもしれない。夢の中では現実で何が起こっているのか把握できない。そして徐々に夢と現実が混ざり合い、自分の意識すらわからなくなってきてしまう……。そんな不安を視聴者にも駆り立ててくる演出の数々はとても魅力的でした。

 総評として、「ストーリーはわかりやすいがそこに隠された意味を正しく解釈するのは難しい」というのが、私個人の意見です。何度も視聴して議論を重ねることが『パプリカ』を読み解くのに適した分析方法であり、良い楽しみ方といえるかもしれません。

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次の活動報告も楽しみにしています。

春学期の活動はいったん昨日で終了しました。秋学期の活動について、学生たちの計画ができましたら、お知らせいたします。ご関心のある方は、ぜひ、ご参加ください。
先日はブログを読んでくれた受験生の来訪もありました。

学生たちが自ら作る議論の空間です。
                                       ♪伊藤淑子

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