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国際文化コース
2018年度の「カルスタ賞」決定!
はじめに
これは、年度ごとの企画委員の人たちの熱意と頑張りによるものです。昨年度の企画委員の人たち、本当にありがとう!
投稿者は1・2・3年生で、総論文数は、今年は44編でした。以下では、2018年度(2019年度ではありません)の「カルスタ賞」の選考方法や選考結果を、皆さんにお伝えします。
表彰式は、5月29日(水曜日)に行われました。
左から一年生賞の高橋さん、銀賞の福嶋さん・長田さん、銅賞の大内さん・宮さん、一年生賞の小澤さん
カルスタ賞の選考方法
その結果、第1回目の投票結果は、次のようになりました。「サブカルチャー」のセクションの論文が第1位と第2位を独占しました。第3位は「食文化」と「相反」のセクションから1つずつです。
第1位 宮李欧「音楽と広告媒体としてのメディア」 17票
第2位 福嶋萌香「日本におけるモノの擬人化文化」 15票
第3位 大内雅之「『風立ちぬ』の反戦映画としての異様さについて」 9票
第3位 長田琴子「犬食文化を見る目」 9票
これらの論文の中から、⑴着眼点、⑵自分の意見の有無、⑶議論の論理的な展開、⑷論旨の一貫性、⑸議論の説得性、⑹結論の明快さ、⑺形式などを踏まえて、総合的に選考しました。
以下では、これらの評価ポイントについて詳しく述べます。
⑴の「着眼点」は、論文のなかでもっとも重要なものといえます。これが勝負を決めるといっても良いでしょう。これは「センス」「天から与えられたもの」といえるかもしれません。
⑵の「自分の意見の有無」は、自分のオリジナルな主張があるか否かということです。人の意見の引き写しでは、論文を書く意味がありません。
⑶の「議論の論理的な展開」は、議論の進め方が「論理的にきれいに流れているか」「議論に飛躍がないか」などといったことです。「論文」は詩歌や小説とは違います。地道に「論」を積み上げていくという作業です。
⑷の「論旨の一貫性」は、⑶と重複する部分もありますが、これがなければ、何を主張したいのかが明確に伝わってきません。今回のような短い論文では、議論が個々の局面で論理的に美しく流れていて、さらに、全体が1つのことを主張している、というのが理想です。「はじめに」と「おわりに」がきちんと対応していることが条件です。
⑸の「議論の説得性」は、同じことをAさんとBさんが主張しているとしても、どちらが読者に納得されやすいか、理解されやすいか、共感を得やすいかなどといったことです。もちろん、著者と読者で立場が違うがゆえに、読者に主張内容がまったく納得されないこともあるでしょう。それでも、「説得性」というのは大事です。文章力、表現方法、議論の要素を展開する順序など、いろいろと工夫しなければなりません。
⑹の「結論の明快さ」とは、主張が明確で読者に伝わるか否かです。これは、⑶⑷⑸とも深く関係しますが、「結局、あなたは何が言いたいの?」と聞かれたときに、「これだよ!」と言えるかどうかです。結論は、それに先行する議論から「演繹」されるものでなくてはなりません。新たな要素を付け加えてはいけません。
⑺の「形式」は、言い出すといろいろとありますが、さしあたり、「注の付け方」と「引用文献の示し方」がきちんとしているか否か、です。「注」は本文に匹敵するほど重要です!
以上、いろいろと書きましたが、これらはいわば数値化できる「要素点」です。最後に、この要素点の合計に、数値化できない「直観点」を加味して、賞を確定しました。
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上記の要素点をすべて満たす論文は、教員(論文のプロ)でもなかなか書けません(笑)。しかし、⑴から⑺までの事柄を念頭において今後論文を執筆すれば、こうしたことをまったく知らずに執筆するよりも、はるかに優れた論文がみなさんの中から生まれてくるでしょう。
2018年3月刊行の『私たちのカルスタ』第9号
選考結果
毎年書いていることですが、書かれたものの評価は、往々にして、評価する人によって異なります。それは、多くの賞やコンクールで、審査員の意見が食い違うことに見られます。したがって、今回賞を取った人も取れなかった人も、学生諸君の投票結果ならびに選考結果に、一喜一憂しすぎないでください。まぁ、カルスタの論文集の「オマケ」くらいに考えておいてください。
金賞:該当論文なし
銀賞:長田琴子「犬食文化を見る目」
銀賞:福嶋萌香「日本におけるモノの擬人化文化」
銅賞:宮李欧「音楽と広告媒体としてのメディア」
銅賞:大内雅之「『風立ちぬ』の反戦映画としての異様さについて」
受賞者全員に、こうした立派な賞状が手渡されました。
おわりに
来年も、素晴らしい論文集『私たちのカルスタ』が出来上がることを、教員一同、楽しみにしています。
最後に、論文集に投稿してくれたカルスタの学生諸君、企画委員や運営委員の人たちにも、御礼を述べて、筆を置きます。ありがとう!
また、教務部・ティーマップの皆さんにも、大変お世話になりました。ありがとうございました。
星川啓慈(人文学科国際文化コース教授)