学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

国際文化コース

【人文学科国際文化コース】ファンタジーからはじまる文化研究

人文学科国際文化コースの学びは多彩です。
国際とは、インターナショナルであり、インターカルチュラル、まさにさまざまな文化のまじわりを意味します。その融合のダイナミックな作用を研究することを国際文化コースはめざしています。


たとえば、ファンタジーも私たちの研究テーマです。
ジャンルとしてのファンタジーは、産業革命で豊かになった社会に出現したブルジョア階層の子どものための物語として、18世紀末から19世紀にかけて、イギリスで誕生します。『不思議の国のアリス』や『ピーター・パン』がファンタジーの第一期黄金時代の代表的な作品です。


二つの世界大戦を経て、荒廃した状況から、子どもたちに希望と夢を与える物語として『指輪物語』や『ナルニア国物語』が書かれます。この時期をファンタジーの第二期黄金時代といってもいいでしょう。


そして、つぎの大きなファンタジーの波は「ハリー・ポッター」シリーズとともに訪れます。
文字で書かれたファンタジーから、映像作品がほぼ同時といってもいいほど、あっというまに映画化されていったのも、新たな現象でした。つぎつぎと巻を重ねる「ハリー・ポッター」が引き起こしたファンタジー・ブームのなかで、『指輪物語』や『ナルニア国物語』も、映画化されました。原作は読んでいないけれども、アスラ―は知っている、という人も多いのではないでしょうか。


ファンタジー・ブームのなかで、新たな作品もたくさん書かれました。RPGなどのメディアの展開もともなって、神話の世界のおもしろさ、鬼やドラゴンなど古今東西の空想的物語展開の楽しさにも気づきました。


そして日本からも世界に向けてたくさんのファンタジーが発信されました。マンガもアニメも、日本の文化を代表するものの一つです。shoujo mangaやshounen manga、animeは、国際的な学会でも、比較文学の人気のテーマです。


もう、ブームではなく、私たちの日常的な文化に、ファンタジーは定着したといえるかもしれません。子どものための物語というよりも、大人も楽しむ物語のジャンルになりました。世代を超えてだれもが想像力の生みだした物語を楽しんでいます。


「ハリー・ポッター」シリーズの最初の作品『ハリー・ポッターと賢者の石』が1997年にベストセラーになってすでに20年以上になります。ブームの真っただ中では見えなかったことも、分析的に考察できるようになりつつあるのではないでしょうか。


現代を生きる私たちにとってファンタジーとは何か、空想的想像力はどのような意味をもつのか、バーチャルな空間はいかなる価値をもつのか、いっしょに考えてみませんか。
先輩たちが執筆した卒業論文も、さらに発展的な考察の大きな手掛かりです。
研究の成果を引き継ぎながら、ファンタジー研究の系譜もさらに強化していきたいと思います。



                                     人文学科国際文化コース
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