学部・大学院FACULTY TAISHO
人間科学科
授業紹介05:社会調査実習(荒川クラス)
大正大学人間科学科の専門科目(Ⅱ類科目)のなかに「社会調査実習」があります。この科目では、履修者が社会調査の企画から実査、報告書作成までを、1年間を通じて実際に経験します。2016年度は3つのクラスに分かれて実施しています。
3つあるクラスのうち、荒川が担当するクラスのテーマは、「スローライフの現代的展開についての社会学的考察」です。日本でスローライフが叫ばれるようになってすでに15年以上が経ちましたが、スローライフ運動は現在どのような形で展開されているのかを調査し、その可能性と限界について社会学的に考察してみようというのが今年度のテーマです。
実習では、最初にスローライフがどのような社会背景のもとで提唱されたのかについて概要を知ったのちに、履修する学生の一人ひとりが、扱ってみたい対象についてプレゼンテーションを行いました。都市と田舎の関係からスローライフについて考えたいという人もいれば、スローフードの現状やスローワークについて調べたいという人もあり、内容は様々でした。
その後、いくつかの班に分かれてテーマをしぼったうえで、関係する情報を集めました。ある程度の情報がまとまった班では、仮説を立てたうえで、すでに予備的な調査に出かけたところもあります。今後の調査に期待したいところです。
この「社会調査実習」は、社会調査士資格を取ろうとする者にとっては必ず履修しなければならない科目です。毎年報告書を作成し、社会調査協会に提出していますが、最終的には、一般書籍と同様に、国会図書館に納められることになります。
昨年度の実習の成果は『都市における社会的贈与の現実と可能性』と題して、報告書にまとめられました。各章のタイトルは以下のとおりです。
1.社会的贈与からみる「猫実」の歴史
2.町並み形成にみる地名の生かし方
3.地名のもつメーッセージを受け継ぐ場としての博物館
4.郷土料理のあり方と社会的贈与
5.都心の郷土料理店における社会的贈与
6.学校給食が伝える‘郷土料理’の贈与性
7.炊き出しにみる贈与性
8.公園ボランティアから見える社会的贈与性
9.海岸清掃活動における社会的贈与
10.社会的贈与としてのパブリックアート
11.社会的贈与からみたサード・プレイスの可能性
12.私立図書館における社会的贈与性
13.贈与されたアニメ聖地としての役割
14.社会的贈与の場としての「読み聞かせ」
15.ペットと飼い主の贈与的関係
16.ホスピタリティと社会的贈与
オープンキャンパスなどで大正大学にお出でいただいた際には、報告書を手にとってご覧いただけますので、ぜひお越しください。お待ちしています。
(文責:荒川康)