学部・大学院FACULTY TAISHO
人間科学科
医工心「脳波」研究会で4年生が発表(荒生ゼミ)
10月8日(土)に本学で、第3回医工心「脳波」研究会を開催しました。「医工心」は、医学、工学、心理学のそれぞれの頭文字を示しており、文字通り、各領域の研究者が集まるユニークな研究会です。脳波を軸に、基礎から応用まで様々な活用を考える会合で、各立場から前向きな議論を行い、相互にインスパイアしあうことを目標としています。今回は、非常に簡便に確実な脳波を記録できるオリジナルの脳波計を開発した(株)デジタルメディックの木村社長にもお越しいただき、一層幅が広がりました。
さて、研究会のトップバッターは、荒生ゼミ4年の戸谷君、関口君、堂領さんの3人。3人は早い段階からコツコツ卒業研究を進め、すでにまとまったデータを取得していました。今回、発表にむけて、データ解析や、発表のストーリー作りなど、骨の折れる作業をこなして、当日に臨みました。発表は、非常にわかりやすく堂々としたものでした。発表後は、当研究会の真骨頂である「方法論をはじめ、データやその解釈をめぐる多角的かつ活発な議論」が行われたことは言うまでもありません。「心理学」サイドからは唯一の発表で、心理実験における脳波の活用事例として、異分野の方々にも新鮮だったようです。
その後は、工学、医学の立場からの発表、そして木村社長による最新の脳波計のデモが行われ、その都度活発な議論が行われました。当ゼミ生たちにも非常に新鮮だったことと思います。こうして異なる領域の方々の発表を聞き、議論を行うと、普段の脳波との付き合い方が実は偏ったものであり、それ以外にも様々な活用・応用方法があることを思い知らされます。脳波は脳活動の記録法としては古参の部類に入りますが、そのポテンシャルの奥深さを知る上でも貴重でした。
発表を行った3名のゼミ生たちは、今回、自分たちのストーリーを作ることに苦心していました。単一の答えや既存の道のない世界で、自分たちの考えや、自分たちなりの答えをまとめていく作業です。今回の研究会を通じて、研究やビジネスの最先端は、まさしく「答えのない世界、あるいは、既存の答えが通用しない現場」であることをあらためて感じたのではないかと思います。それぞれがどう考えるかによって、ときには試行錯誤を繰り返しながら、自らのアイデアの実現や答えの追及を進める案外泥臭い世界だな、と思ったかもしれませんね。
さて、今回発表した3名も、今度は、自分たちのストーリーを記載していく作業に入ります。卒業論文の執筆です。皆さんのアイデアや知見を記録として残す大切な作業です。ぜひ、貴重な作品を生々しく残して、卒業してください。
(文:荒生弘史)