学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

人間科学科

大学院生が国際学会(Fechner Day 2017)で発表

 人間科学科の大学院生(修士課程2年・野村大悠)が、担当教員(荒生)と連名で、福岡で開催されたFechner Day 2017 (The 33rd Annual Meeting of the International Society for Psychophysics) で、研究成果を発表しました。学会名にあるPsychophysicsと聞いてもピンとこない方も多いでしょうか。精神物理学と訳されるこの分野は、様々な物理的な刺激に応じて、私たちの心理的な量がどのように変化するか、心理学の黎明期から探求してきました。扱う心理量としては、古くからのテーマである「感覚の大きさ」はもちろん、より最近では「感性や感情の質や量」をテーマとしたものに広がりをみせています。

 今回発表した研究もその一つ。感性や感情を、新しい方法で測定したものです。具体的には、映画(物理的な刺激)をみて、興味度(心理量)がどのように変化するか、ゲーム用の汎用ジョイスティックを使って測定するものでした。より興味を持てたらジョイスティックを前方に倒し、逆であれば後方に倒してもらうという、他になかなか例をみない測定法です。興味度という測定対象のユニークさに加え、方法としても、ジョイスティックを用いることで、時々刻々変化する心理量をそのまま時々刻々測定することを狙ったユニークなものです。心理測定といえば、従来、質問紙をはじめ、感覚の大小判断、好みの判断等、概してある特定の時点についての測定にならざるを得ませんが、それとは対照的です。この新たな方法は、CMや時系列での評価が必要な製品開発等にも応用できそうです。

 今回の研究では、まず実際に、映画の展開にしたがって、興味度が増減することを時系列のグラフで示しました。それだけでなく、単に映像だけ、あるいは音だけに対する興味度の増減にくらべると、両者が組み合わされることによって、はるかに大きな興味度の変化が生じることを示しました。つまり、映像は音が組み合わされることで(音は映像が組み合わされることで)、視聴者の心を一層ゆり動かすことを、時間軸にそったデータをもとに浮き彫りにしました。さらに、映像や音のどのような面が、興味度の増減に関わるかを詳細に分析した結果も報告しました。他の参加者からいただいた好評価は大いに励みになるとともに、他の参加者との有意義なディスカッションは、今後の修士論文の作成・仕上げにも活きてきそうです。

 間近に迫った鴨台祭の人間科学科の体験型イベント(251、252教室)で、発表ポスターを展示します。ご関心のある方は、体験型イベントをお楽しみいただきつつ、発表ポスターもぜひご覧ください。


(文:荒生・野村)

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