学部・大学院FACULTY TAISHO
情報文化デザインコース
H30年度 ワークショップ1(編集)、印刷博物館見学
今年度は1年生「ワークショップ Ⅰ(編集)」
恒例の印刷博物館見学を4月19日に実施しました。
出版・編集コースの新入生が当コースで学ぶに当たって、
印刷博物館を見学することで、「文字→本→印刷」の歴史を実感し、その進化と
現在のような文明社会が形作られたことを体感して貰っています。
そして、全員がその体験を「記事」にまとめています。
一般に記事というのは、感想文ではなく、読者に知的満足感を与えるものです。
小・中・高校で慣れた書き方ではないので、多くの学生が苦戦していますが、
その中でよく書けている矢部さんの記事を紹介します。
なお、写真は横田川さんの撮影です。
(大島)
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刷る文字と打つ文字
今日、情報の媒体が多様化しつつある。
しかし、そんな今だからこそ改めてメディアと共に
大きく変化してきた印刷の歴史や技術を学ぶべきではないか。
東京都文京区トッパン小石川ビルにある印刷博物館に
その大部分がわかりやすく展示されている。
地下一階の券売カウンターをぬけると
まず見ることができるのはプロローグ展示場だ。
印刷博物館は四つのゾーン
「かんじる(感覚)・みつける(発見)・わかる(理解)・つくる(創造)」
がある。このプロローグ展示場はその中の「かんじる」展示だ。
このゾーンには六つのテーマの展示を歴史に沿って
実物のレプリカや映像を見て印刷文化の歴史について学ぶことができる。
ラスコーの洞窟壁画から始まり、現代の磁気・ICカードまで飾られている。
壁一面にあるレプリカの数々は偽物だとわかっていても圧巻の迫力である。
プロローグ展示場の出口の横には「つくる(創造)」のゾーンで
そこに印刷工房『印刷の家』がある。
ここでは、活版印刷の仕組みを実際に、昔
使われていた印刷機械を見ながら学ぶことができる。
ここで少し活版印刷について簡単に説明しよう。
活版印刷は一字一字が判子のようになった活字を使い
原稿に従って枠の中に文字や記号を何字何行という形に組んで
見開きのページ毎に印刷用の版を作る。
その版にインクを付け、紙に乗せて圧をかけることで印刷する技術のことだ。
(簡単に言うとスタンプのようなものだ)
印刷のため紙に圧力をかけるので凹凸が感じられる印刷になる。
印刷工房では栞や紙などに自分で活版印刷する体験ができる。
これはよい思い出になることだろう。
活版印刷の発祥には諸説あるが、
西洋ではドイツのグーテンベルクがその創始として有名である。
奥の「わかる(理解)」の総合展示ゾーンでは
世界最古の印刷物である重要文化財の百万塔陀羅尼や
日本初の活字・駿河版銅活字などを見ながら音声ガイドで学ぶことができる。
また、ちょっとしたゲームや操作でより理解を深めることができる展示もある。
見て、聞いて、動かして、まさしく理を解すのだ。
そして、年に二、三回開催される「みつける(発見)」の
企画展示ゾーンではさらに印刷について深く学ぶことができるだろう。
「温故知新」ではないが、今だからこそこの場所に来て感じるものは多いはずだ。
ぜひ一度印刷博物館に足を運んでほしい。