学部・大学院FACULTY TAISHO
宗学コース
【天台学研究室だより】法儀研究夏期講座(天台学コース)
本年度も9月1日から7日までの一週間、比叡山居士林道場にて法儀研修夏期講座を行いました。
この講座では、天台宗の僧侶になるためにお経の読み方や法要の作法、
さらにその心構えを学ぶ天台宗法儀研究という授業の一環です。
この講座では、天台宗法儀研究Ⅰ・天台宗法儀研究Ⅲを受講している学生が参加し、
スマホやテレビといった文明から離れ、比叡山の山中で一週間、本来の修行に近い環境で、
朝は五時半に起床、坐禅や勤行、作務にはじまり、日中は法要の実習、夜は勤行、講話、
自習など、大学生活とは違った生活を送ります。
開講式 研修の始まりです 緊張感をもったまま勤行へ
西塔・東塔参拝(於阿弥陀堂) 坐禅止観(於釈迦堂)
一週間の法儀研修の無事を祈り諸堂参拝へ。にない堂(法華堂・常行堂)、浄土院、法華総持院、戒壇院、根本中堂等を訪問しました。不慣れな下駄を履いての山道に苦戦することもしばしば。
ちょっとしたハプニング有りの参拝となりました。上記の写真は、法華総持院にある
阿弥陀堂を参拝したときのものです。鎮護国家・僧侶の修行を目的とする延暦寺の中で唯一、
一般の方々の回向法要を行う御堂です。
【法儀実習】
初級の実習風景 上級の実習風景
比叡山の道場をお借りしての実習風景です。
初級は例時作法・法華懺法、上級は例時作法・法華懺法・光明供の実習を行います。
朝から夕方まで法要の細かい所作や作法を先生方や先輩たちからじっくりと学びます。
【三塔巡拝】
横川から麓の坂本へ 早朝 日吉山王社
難関 無動寺坂 最後の階段 日が昇る頃 居士林へ
そして、この研修では、回峰行を体験します。回峰行は、平安時代の相応和尚が始められた比叡山の修行の一つです。比叡山の峰々をめぐり、山中の様々な御堂や聖地を巡拝します。
この研修でも、実際の回峰行と同様に夜中から始まります。
午前二時に起床し、西塔の釈迦堂を出発、懐中電灯だけを頼りに横川へ行き、
横川から麓の坂本へと下って行きます。麓では日吉山王社や滋賀院などを訪れ、
今度は回峰行の難所の一つである無動寺坂を登って行きます。
その後は、東塔の根本中堂等の御堂をお参りし、西塔の居士林へ戻ります。途中休憩を挟みながら、およそ八時間の行程を完遂しました。
黒谷青龍寺参拝 食事風景
反省会 講義風景
閉講式
この研修によって法要の作法や僧侶の心構え、集団生活の中で助け合うことの大切さを学び、
やがて一人前の僧侶となっていきます。来年度、初級の学生は上級へ、
上級の多くの学生は比叡山での修行に入ります。今回の研修で学んだことを振り返り、
来年度の研修・修行にしっかりとした心構えを持って励んでもらえればと思います。
天台学研究室 木村 周誠
嘱託 布野 聡周 記