学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

宗学コース

特別企画「学びの探索 教員版」第4回 佐々木大樹先生(真言宗智山派)

公式Facebookページ開設を記念して、学科教員の研究の紹介や教員になった経緯などを紹介する企画です。
大学HPの教員紹介よりも一歩踏み込んだ内容となっております。

高校までには居なかった、専門分野において突出した知識や経験を持つ仏教学科の先生たちを余すことなく紹介します。

学びの探索 教員版 №4
※「学びの探索 教員版」では、学科教員の研究の紹介や教員になった経緯などをご紹介します。
第4回は宗学コースの佐々木大樹先生(真言宗智山派)です。

📜📜私の研究履歴 📜📜
📕仏教との縁📕
北海道でも、マイナス30度以下となる厳寒の地で生まれ育ちました。都会のような便利さはありませんが、四季の移ろいは美しく、自然との関わりの中で様々なことを学びました。そして、青年時代には、「人はなぜ生きるのだろう?」と疑問を抱くようになり、次第に仏教に惹かれていきました。


📕大正大学で初めて仏教を学ぶ📕
1996年、大正大学仏教学科に入学しました。当時、僧侶を目指す学生には、3ヶ月間、道心寮(埼玉県松伏町)での僧堂教育が課せられていました(現在、各種研修道場以外はすべて通学です)。はじめての上京に、不慣れな集団生活、まさに戸惑いの連続でした。また、入学当初、サンスクリット・漢文・英語と語学の多さに驚かされましたが、この学びによって研究の基礎を学ぶことができました。
3年生となり、研究テーマを空海の顕密対弁思想に定めたところ、指導の先生からは、「空海の全著作を読むといい」との助言を受けました。そこで2年間かけて著作ごとにノートを作り、ほぼ全てを読破しました。つたない卒業論文でしたが、実際に原典を読んだことにより、おぼろげながら空海が描いた世界を垣間見ることができ、研究の面白さとともに自信を得ました。


📕大学院以降の研究の方向性📕
2000年に大学院進学してからは、初期密教の研究に力を注ぎました。福田亮成先生のご指導のもと、『陀羅尼集経』(全12巻)を選び、梵蔵漢の対照研究を行いました。特に第1巻に収録される話が、有名な仏伝「舎衛城の神変」に起因することを発見した時には、改めて研究の面白さを感じました。
その後、博士論文執筆を見すえて、「仏頂尊勝陀羅尼」の研究に着手しました。この陀羅尼は、死後の地獄を回避し、長寿をもたらすものとして、国や人種の垣根を越えて広くアジアで信仰され、様々な言語に訳出されました。この研究に関連して、故・畝部俊也先生より名古屋大学にお招きいただき、梵文写本やタイの関連文献(ウンヒーサ・ヴィサヤ)について意見交換できたことは、大きな刺激となりました。


📕研究とフィールドの往還📕
大学院以降、アルバイト代を貯めては年に一度、海外の仏跡を巡ることを目標にしていました。遠藤祐純先生とのインド縦断とブータン旅行、廣澤隆之先生とのインド・ネパール旅行、元山公寿先生とのチベット旅行、また大学院の仲間といったスリランカや西安・敦煌旅行等、いずれも異文化に触れて様々な気づきが得られました。大学で学んだ知識を現地で確認し、現地で感じた雰囲気や疑問をもとに大学で研究する。そのような往還によって研究の視点は深まり、何物にも代えがたい大きな糧になったと感じています。
また大正大学で様々な先生と交流し、時に励まされたこと、そして多くの学友たちと力を合わせて文献を読み、夜は遅くまで議論を交わしたことも良い経験となりました。


📕最近の研究テーマ📕
2016年に大正大学専任教員に着任以降、初期密教の研究に加え、これまで蓄積した知見をもとに改めて空海周辺の文献を読み進めています。空海の思想はもとより、伝記類や伝説・信仰に手を広げ、時にフィールドワークを交えながら研究を深めています。また近年は、講演や原稿執筆を積極的に行い、仏教や密教の魅力を広く発信することにも力を入れています。

佐々木先生の経歴やご専門についてもっと詳しく知りたい方は、以下のリンクをご覧ください
https://researchmap.jp/read0154371
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