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日本文学科

【日本文学科】課外活動・2022年度春期特別講義(第1回)を開催しました

2023年2月20日(月)に、課外活動の一環として春期特別講義(第1回目)を開催しました。

今回のテーマは、上代文学(歴史上の奈良時代前後を中心とした時代の文学作品)に関するもので、ゲスト講師は、京都女子大学文学部国文学科准教授の池原陽斉先生です。特別講義のタイトルは、「『萬葉集』の学び方―「わからないこと」と「わかること」―」でした。

日本の古代の文学には、資料的な制約や文献ごとの記録方法の問題などに起因する多くの「謎」があります。そうした「謎」をそのままにしたり、誰かの仮説を鵜呑みにしたりするのではなく、わからないことを意識しつつ、わかることを明らかにしていく姿勢が大切です。

 
今回のご講義では、池原先生のご専門であり、日本の古典文学の代表的作品の一つでもある『萬葉集』を取り上げて、作品からわからないこととわかることを区別し、謎を明かしていく研究の方法とヒントを、古代の婚姻関係や恋の在り方を追究できる歌を題材にお話しいただきました。

授業期間外での課外活動ですが、12名もの大学院生、学生が集まって、活発な質疑応答も行われました。以下に、固有名詞や取り上げた資料に関連するものが少ない感想を、一部を要約・抜粋する形でご紹介します。

【学生の感想】
(1)1つの語、その前後の解釈について、これだけたくさんの注釈書を見比べたことがなかったので、非常に興味深かったです。従来と異なる解釈が出来ることにわくわくしますし、使用される「語」自体の意味を改めて見直して用例を探して、いかに納得できるように説明出来るかを考えていくことに面白さがあると思いました。今回ご提示いただいた資料は、1つの説に対する反論なども客観的に見ることも出来て楽しくうかがうことが出来ました。

(2)『萬葉集』が限られた範囲の資料であることをご講義いただきました。このことは、『萬葉集』に限らず、全ての文学作品と向き合ううえで念頭に置いておかなければならないことであると、改めて思いました。『源氏物語』などもそうですが、作品に描かれる風俗などは作品の作者や記録した人の考えを介したものであることを忘れないようにしたいと思います。

(3)『萬葉集』を今までしっかりと読んでみたことがなかった私でも、学び方からご講義いただいたおかげで、自分でも今後もっと勉強してみたいという意欲が湧いてきました。特に、古代の婚姻関係について、出版された書籍に書いてあることを素直に信じてしまうのではなく、「本当かな」「何でかな」と疑問を抱くことの大切さを実感することが出来て、結論として示していただいた解釈にも深く納得できました。
 
学生の皆さんが意欲的に講義に臨み、多くのことを学んでくれたことがうかがえて、うれしく思います。池原先生、お忙しいところ遠方よりお越しいただき、素晴らしいご講義を誠にありがとうございました。
 
*本特別講義は、大正大学文学部日本文学科が採択された、2022年度学長裁量経費の補助を受けています。

大正大学文学部日本文学科では、これからも学生の主体的な興味・関心に応えるべく、様々なイベントや取り組みを行っていく予定です。Twitterもありますので、ぜひチェックしてください。
 
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