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日本文学科

【日本文学科】金沢文学館巡りをしてきました【近代文学系課外活動】

2月25日(日)、26日(月)に4年生有志と金沢文学館巡りをしてきました。昨年12月から計画していたイベントだったのですが、元日の能登半島大地震により、開催すべきか迷いが生じました。それでも、観光客が激減しホテルなどのキャンセルが相次いでいること、金沢に来てほしいという地元の方々の呼びかけなどが報道され始めたこともあり、予定通り行うことにしました。その行程の一部を紹介します。

25日は犀川方面に行き、室生犀星記念館を中心に、近辺を踏査しました。室生犀星記念館では、常設展、企画展「あにいもうと―人生の悪を吐きつくせ」を見学しました。館の方によると地震の影響はそれほどなかったとのことでしたが、犀星が幼少期を過ごし、ゆかりの品が展示されている雨宝院は残念ながら拝観を停止していました。そこから妙立寺を見学し、石川四高記念文化交流館方面に移動。本来なら併設の石川近代文学館を見学予定でしたが、ここも安全確保のため臨時休館中でした。それでも、作家の中野重治はじめ多くの文化人を輩出し、重要文化財にもなっている旧第四高等中学校本館を見ながら周辺を散策できたことはよかったと思います。

26日は、浅野川方面を踏査。徳田秋聲記念館、泉鏡花記念館を中心に、そのゆかりの地を訪ねました。徳田秋聲記念館では、常設展、企画展である秋聲没後80年記念企画展「自筆原稿一挙公開」を見学。学芸員の藪田由梨さんから、秋聲をめぐる現状や展示品について、解説していただきました。印象に残った点について、学生に聞いてみました。

「記念館を訪れて印象に残ったのは、文豪からの秋聲に対する評価です。まずは、川端康成で、日本の小説は源氏にはじまって西鶴に飛び、西鶴から秋聲に飛ぶ、と言っています。これは、菊池寛が残した言葉をもとに秋聲を讃えたものだと、説明を受けました。次に、夏目漱石で、秋聲の作品に対し、現実を書いているが、フィロソフィーがないといった旨で批判していました。これについては、あくまでも秋聲と漱石の作風の違いで、優劣をつけるものではなく、実力のある者に賛否両論はつきものだと感じました。知名度は低いもののその名声を聞けば、秋聲に才能があることは明白で、ゲームを機に知名度が上がっている秋聲の存在がさらに広まってくれたらと期待が高まります。」

秋聲をめぐる交友関係に関しては、記念館の展示を越えて、学生たちが自分の専門とする作家との交流などについて質問する場面もありました。なお、秋聲記念館でも、地震以後、壁掛けのものなど、展示を2割ほど減らしているということでした。幸いにも、展示品の破損はなかったとのことで、安心しました。秋聲記念館は、ここでしか買えない秋聲の文庫本はじめ、オリジナルグッズも充実していて、文学を愛する学生たちの財布の紐も緩んでいました。藪田さん、記念館のみなさまのおかげで、充実した時間を過ごすことができました。改めて、御礼申し上げます。ありがとうございました。


(徳田秋聲記念館前で記念撮影)

 
その後は、秋聲ゆかりの地であるひがし茶屋街をまわって、泉鏡花記念館、主計町茶屋街に向かいました。鏡花記念館は2月22日に開館を再開したばかりで、今回、見学できたことがとてもありがたかったです。近代文学好きにとって、金沢はとても重要な土地です。今回お世話になった3つの記念館はじめ、この土地の文学館や図書館の隆盛を願ってやみません。

大正大学文学部日本文学科では、今後も学生の興味や関心にあわせてさまざまな活動を行っていきたいと考えています。

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