学部・大学院FACULTY TAISHO
地域創生学科
藤枝班1年生より活動報告
みなさん、こんにちは。
大正大学地域創生学部、2022年度藤枝班1年生です!
私たちは、大正大学と包括連携協定を結ぶ静岡県藤枝市の地域実習に取り組ませていただきました。まず、地域創生学部の1~3年生、計43人が、北村正平市長から「地域創生研究員」に任命していただきました。
地域実習で藤枝を深掘り 大正大生 オンライン開始式|あなたの静岡新聞 (at-s.com)
今までは約40日間、現地で実習をさせていただいていましたが、今年は新型コロナウイルスの影響もあり、夏前の第3クオーターには全国の実習地と中継を繋いでの実習が行われ、3月には続けて各地域班に分かれてオンラインで5日間の集中実習が行われました。こうした条件に不安もありましたが、藤枝市の自治体・住民の方々は、とても分かりやすく丁寧に現地のことを教えてくださり、とても有益な実習となりました。以下、今回取材させていただいた方々のお話について、1年生からの報告です。現地の皆さまへの感謝と藤枝市から受けた刺激の記録としてお読みください。
<1日目>
藤枝市企画政策課
初日はまず、藤枝市企画政策課の河島浩二係長から、市政前半についてお話を伺いました。
藤枝市では、“地方から国を支える”国の「トップランナー」に!を目標に、4Kやコンパクト+ネットワークの新展開、DX・スマートシティへの転換など先駆的なチャレンジ行い、藤枝版ローカルSDGsなどのモデルを確立しています。若者を受け入れる準備を整えることで、若者が地域に参入しやすくしていることが伝わってきました。私たちは、河島係長からお聞きした藤枝市の概況をふまえて、翌日からの個別取材に取り組んで行きました。
ホーム/藤枝市ホームページ (city.fujieda.shizuoka.jp)
<2日目>
未来型人材育成プロジェクト
藤枝には、街ぐるみでICT化を進める、藤枝ICTコンソーシアムというネットワーク組織が存在しています。この藤枝ICTコンソーシアムが主催する未来型スキル教育支援事業の事務局を担当されているのが、株式会社サンロフトさんです。私たちは、サンロフトの鈴木あゆみさんに取材しました。サンロフトさんでは、未来型人材育成として、人と企業の共感と成長が循環している地域を目指し、学びの場、交流の場を作る活動をしておられます。
未来型スキル教育支援事業の活動内容についてお話を伺うなかで、とくに印象に残ったのは、人材育成の担当者側に成長があるという点でした。住民が職業スキルを身につけるきっかけや学びの場を作ることで、事務局としてかかわる鈴木さんにも学びがあるということです。「未来型人材」とは何かについてディスカッションしていくなかで、この支援事業の必要性について、多くの気付きがありました。
ミライヌ/町内会長 秋原恭大さん
ミライヌは、静岡県で教育支援事業や次世代人材の育成に取り組むNPOです。私たちの学部の地域実習の支援にも長年携わっていただいています。今回、ミライヌの秋原恭大さんに取材することができました。秋原さんは、藤枝市の地元で町内会長も務めておられます。秋原さんのお話のなかで、藤枝市にも独居老人が多いという状況を伺いました。空き家も少なくなく、古民家カフェとして利用していく試みが行われています。ただ、古民家カフェだけでは対応として十分ではないかもしれないという意見をいただきました。一方で、駅前にマンションが増えたことで、周辺人口は増加したという状況もあります。人口増加は地域創生にとって重要な要素ではありますが、秋原さんは、藤枝市の実態に即して、人口増加した地域において地域コミュニティが薄れてしまっていることを語ってくださいました。南海トラフ地震の発生が予想されている静岡県にとって、コミュニティの衰退は防災にも影響してしまいます。私たちは今後、こうした課題点の解決を探っていきたいと考えています。
藤枝MYFC
藤枝MYFC は現在サッカーのJ3で活動しているサッカークラブチームです。藤枝MYFCの掲げている価値に「勝っても負けても応援してもらえるチームになるために、地域に貢献していく」というものがあります。地域社会に根づいたスポーツ文化を作っておられる藤枝MYFCの魅力的な取り組みの姿勢に感銘を受けました。
藤枝MYFCでは、地域の社会福祉協議会や自閉症をもつ子どもたちの施設などに、藤枝MYFCを使ってくださいとPRしていこうと考えておられるそうです。これを読んでいる方や、藤枝MYFCを初めて知った方々は、ぜひ試合を実際に見に来てください。
<3日目>
ミライヌ副理事長 岸本道明さん
3日目の午後は、先述の一般社団法人ミライヌの副理事長である岸本道明さんから、朝ラーメンの文化と歴史についてお話を伺いました。朝ラーメンとは、早朝の農作業を終えた後にラーメンを食べる習慣から生まれた、藤枝市の個性的な食文化です。岸本さんによると、現在の藤枝市民は朝ラーメンを好む人が多いとは言えない状況があるとのことでした。そこから、朝ラーメンは現代的な地域資源といえるのかという疑問が生まれました。自他ともに認められる地域資源になるためには、藤枝市民に朝ラーメンのことをこれからどう伝えていくかが大事だということを教えていただきました。地域の食文化が、時代や社会の変化とともに、どのように持続し、生まれ変わっていくのか。これは食文化にかぎらず、地域文化全体に当てはまる重要な問いであると思います。私たちは事前学習の段階から藤枝市の食文化について聞いていましたが、実習で実際に現地の食文化について詳細にお聞きしたことで、食文化の課題と展望について新しい考えをもつことができました。
TEA SEVEN農家さん
TEA SEVENは、藤枝市の茶商6社と生産農家1社をあわせた7社の協同組合であり、本学とともに日本茶を使用した和紅茶を開発しています。大正大学巣鴨キャンパス近くの店舗「座・ガモール」での商品販売を始めとし、台湾での販売・出展などアジア圏を中心に、幅広い活動を行っている会社です。
今回の実習では、班ごとにTEA SEVENでの新事業の企画提案を手掛け、学生ならではのユニークなアイデアが飛び交う有意義な経験となりました。環境に配慮し、デザインや味にとことんこだわった自慢の商品を一度、皆さんにも手に取っていただきたいと思います。
<4日目>
岡部宿大旅籠柏屋 栗田隆さん
みなさんは、藤枝市が旧東海道の重要な宿場町であったことをご存知でしょうか?藤枝市岡部町にある柏屋(カシバヤ)は、江戸時代の参勤交代時に使用された宿場であり、200年もの歴史をもつ施設です。今回私たちは、柏屋の栗田隆さんに取材することができました。栗田さんは、ボランティアガイド、住民参加型のイベント開催などを行い、この地で生まれた物語を後世へ伝承することに力を入れています。「もう一度、柏屋に訪れたい」と思わせるような環境を作り上げることを課題とし、若者を中心とした来客を増やすという展望を掲げていました。今回の講義を通じて、歴史を継承しつつ、新たな価値を創出していくことの重要性を痛感する時間となりました。
SACLABO/大慶寺 大場唯央さん
4日目の午後は、藤枝市の一般社団法人SACLABOの理事であり、大慶寺のご住職でもある大場唯央さんにお話を伺いました。この講義では、多様な地域住民が集い、民間として地域創生にとりくむ方法や可能性を学びました。大場さんは、方法にとらわれない、独創的な地域創生を実践しておられます。
特に印象に残ったのは、ビジネスと住民の主体性をつなげる可能性です。話を聞いた学生のなかには、住民が主体的に活動することには福祉の意味合いが強く、ビジネスとは繋がらないと考えている学生もいました。しかし大場さんのお話を聞き、様々なプロジェクトの中に住民が企業とも関わりながらやりたいことの話し合う場を設けることで、ビジネスと住民主体性を繋げられることを学びました。私たちにとって、住民主体の地域創生に関する新たな視点が身につくお話でした。大場さんには改めて感謝を申し上げます。
大正大学巣鴨キャンパス内(桜)
以上、実際に現地の方の話を聴くことは、自分たちで調べたものよりも深く濃い内容ばかりで、とても良い学びになりました。今後、メンバー各人の個人研究テーマに活かしていきたいと思います。
藤枝市の皆さま、この記事を読んでくださっている皆さま、私たちは今後も魅力的な藤枝市を軸に日本の地域創生を考えていきますので、何卒よろしくお願いいたします!
執筆:藤枝班1年生(編集長:上里李空)
(文責:高橋若木)