学部・大学院FACULTY TAISHO
社会福祉学科
頑張っています!サービスラーニング
大学が所在する豊島区と、「サービスラーニング」という形態で、今年度より全学を挙げての連携に取り組んでいます。学科では、2年次の基礎ゼミナールにおいて、区内に配置された豊島区民社会福祉協議会に所属するコミュニティソーシャルワーカー(CSW)の全面的なご協力を得て、ワーカーの業務に同行したり、エリアごとに設置された区民ひろばの活動などに参加したりすることを通して、地域の現状やソーシャルワーク実践の意義を理解し、基礎的な実践力を身につけることを目的とした授業展開をしています。
4つある基礎ゼミナールクラスの1つである沖倉ゼミでは、これまで7月~9月の夏期休業期間を通して、各自7~8回ずつ、区民ひろば千早のプログラムやCSWが取り組む地域活動、関係機関への見学などに、ゼミ生22名が分担して参加してきました。サービスラーニングは、このように基本的にはフィールドに出向き、そこで行われている活動に参加する方法を取ることが一般的ですが、試みの1つとして、10月14日(火)の4限目に、CSWの宮坂さんと森田さんにご来校いただき、『誰もが住み良い街を目指して~地域でできることを考える~』と題し、ゼミ生と一緒に、事例検討を行っていただきました。
最初に、CSWから架空の事例「認知症高齢者(豊島えびすさん、83歳、男性。精神疾患を抱えている長男との2人暮らし。認知症の症状が出ており、近隣住民が心配している。)を地域で支えるには」をご紹介いただき、本人・長男・地域・福祉関係者各々の視点から、できること・困難なことを検討し合いました。
ゼミ生が3グループにわかれ、ワークシートを使ってグループ内での議論を深め、その後、気づいたこと、考えたことをクラス全体で発表し合いました。
まず「もし自分がえびすさんだったら、不安で不安でしょうがないな…」、「もし長男だったら、えびすさんのこともあり、余裕がないな…」、「もし近隣にえびすさんのような人が住んでいたら、一般の人たちだったら、気には掛けるものの、何をしてあげたらいいか、具体的には困ってしまうだろうな…」と、各々の状況を想像してみました。
次に、それに対してCSWとして何ができるのかを考えてみました。最初は「徘徊も頻繁に見られるようになったようだし、長男も介護疲れがあると思うので、施設利用を勧めたらいいのではないか…」と、施設利用に抵抗感があるという当事者の気持ちを忘れかけた発言もありましたが、次第に「認知症のことを、地域の人に理解してもらうにはどうしたらいいか」「高齢者同士の助け合いの仕組みを、地域でどのように作ったらいいか」など、区民ひろばでの3か月間の活動があったからこその、えびすさんを地域で支えるための熱心な意見交換が、あちらこちらで見受けられました。
最後に、区民社会福祉協議会でソーシャルワーク実習中だった上級生2名からコメントをもらい、CSWにまとめをしていただき、「えびすさんが地域で暮らし続けるためにも、近隣住民が主体となり、支え合う取り組みを一緒に考えていきましょう」と、今後の活動の方向性を確認しました。
今年度の沖倉ゼミのサービスラーニングの着地点は、これまで区民ひろばの「プログラム参加型」だった活動を、プログラム参加者や区民ひろば理事、あるいは地域の関係機関への「インタビュー型」へとシフトし、えびすさんのような高齢者が抱える生活課題を解決するための、地域における新たなプログラムの提案を行っていきたいと考えています。来年1月にはその成果発表会を区民ひろば千早にて行う予定です。
(文責;沖倉智美)