学部・大学院FACULTY TAISHO
社会福祉学科
卒業論文(卒業研究)の発表会(口述試問)が開催されました
社会福祉学科では、必修科目「プロジェクト研究」を開講しています。この授業は、3〜4年生が全員所属する、いわゆる「ゼミ」のことです。学科では、「プロ研」と呼んでいます。ゼミ生は、2年間かけて、所属するゼミの先生から論文の書き方や調査に関する指導を受け、ゼミの仲間との輪読・発表・議論、調査、グループワーク、見学、ボランティア活動、合宿といった経験や交流をしながら、卒業論文(卒業研究)という、1つの「作品」を仕上げます。その発表会が、11月15日(土)に開かれました。
発表では、インタビュー・アンケート調査や参与観察を使った研究が目立ちました。これは、まずは現状や問題点を明らかにした上で、今後必要となる解決の糸口を掴もうという姿勢の現われですので、現場指向型ないし問題解決指向型の論文が多いと言えます。
私が今回聞いた発表のタイトルを紹介しましょう。
○都市における土地の有効活用について-品川区住み替え制度の事例から-
○過疎地域における施策
○終末期の意思決定プロセスについて-死の自己決定権の課題-
○ターミナルケアにおける家族ケアでのソーシャルワーカーの役割
○女性の管理職は増やせるか
○障害者プロレスについて-ドッグレッグスから見る、エンターテインメントとしての障害者プロレス-
○中学校・高等学校における「いじり」の実態について-スクールカーストを背景とした「いじめ」の正当化-
○社会的ひきこもりとその家族への支援の現状と課題
○家族と共に生活をする脳性麻痺者の自立-親なき後を見据えた支援を考える-
○誰もが取り組みやすいエンディングノート
○高齢者の生活環境-バリアフリー化について-
○歌を忘れても(小説)
○高齢者の生きがいづくり-豊島区の事例をもとに考える-
○失語症者への音楽療法実践及び効果
住宅、地域、終末期、自己決定、家族、労働、学校、年齢、小説、生きがい、音楽・・・。これらは、上記タイトルや研究内容からキーワードを拾ったものです。
実は、「福祉の課題」というものは、至るところに在りそうです。それを発見できるかどうかは、福祉(あるいは社会福祉)のアンテナや視点を持つことができるかどうかにかかっていることが分かります。実際に、社会福祉の領域では、かつては福祉課題でなかった(社会が見ていなかった)ような事柄が、制度や法律の対象となったりすることも多いです。例えば、「精神保健福祉」はかつて、「精神衛生」「精神保健」でした。医療行為の対象という位置づけに加えて、社会福祉的支援が制度化していくのは、それほど昔のことではありません。その意味で、社会福祉というものは、福祉課題(社会的な矛盾)の発見と解決の積み重ねでもあるといえるでしょう。
大袈裟かも知れませんが、もしかしたら、社会福祉学科の学生は、卒業論文で、社会の最前線・最先端イシューを探索しながら解決の糸口を見つけ出し、大学から社会へと橋渡しする企図(プロジェクト)を試みているのかもしれません。卒業後も、その芽に養分を与えて、施設、機関、地域、企業などで自分なりの花を咲かせて欲しいと思います。
(文責:松本一郎)