学部・大学院FACULTY TAISHO
社会福祉学科
100年福祉-28 卒業生シリーズ⑥
社会福祉学科の卒業生を紹介するシリーズ第6回目は、学部卒業してから14年間、栃木県にある同じ社会福祉法人で、一貫して障害者支援を続けている平山剛光さんです。
①卒業年次、取得資格
2003年3月(平成15年)卒業。
②卒業後の略歴
2003年4月(平成15年)~2008年3月(平成20年)
社会福祉法人せせらぎ会 デイサービスセンターウィズ(障害者支援施設) 生活支援員
2008年4月(平成20年)~2012年3月(平成24年)
同法人 県南圏域障害者就業・生活支援センターめーぷる 就業支援ワーカー
2012年4月(平成24年)~2013年3月(平成25年)
同法人 多機能型事業所かえで(宿泊型自立訓練) 生活支援員兼、ジョブコーチ
2013年4月(平成25年)~現在
同法人 障害者相談支援事業所あるしぇん 相談支援専門員
③大正大学社会福祉学科での思い出、選んでよかったと思うところ
大正大学社会福祉学科を選んでよかったことを一言で表すと「出会いに恵まれた」ことだと思います。
同じ福祉の道を目指す仲間との出会い。ボランティアサークルでの活動を通して知り合った当事者の皆さんや、そのご家族、支援者の皆さんとの出会い。そして厳しくも常に暖かく私たちをご指導くださった恩師との出会い。そういった方々との出会いが、今の自分を形作っているのだと思います。
一番記憶に残っているのは、3年時の現場実習です。障害者の入所施設に泊まり込みで行う予定でしたが、たまたまある入所者の方が精神的に不安定な時期と重なってしまいました。
その方にとって部外者である私が施設にいることが、とても恐怖に感じられてしまったようで、実習中の私を見かけると「出てけ!」と叫んでは追い回し、その方から見えないところに隠れても、施設内を探し回って見つけては「出てけ!」叫ぶといった状況になってしまいました。
その為、私がいる事でその方だけではなく他の入所者の方々にも迷惑をかけてしまうことから、実習を中断せざるを得ないことになりました。この事実は、当時の私にとってとても辛い体験でした。
一時は福祉の仕事自体、自分には向いていないのではないかと思い悩みましたが、実習指導も担当してくれていた恩師は、すぐに栃木の実習先まで駆けつけてくれて、精神的に追い詰められていた私をフォローして下さいました。その時の心強さや安心感は、とても鮮明に覚えていますし、今でも感謝しております。
また、辛い体験となった実習も、その縁で卒業後はその法人に入社することになり、現在も働き続けています。今にして思うとその体験も含めて「出会いに恵まれた」のだと思います。
④社会福祉を学ぶことや社会福祉の仕事の魅力について
私は現在、相談支援専門員として業務に従事しております。
相談支援ですので、初めて来られる方は必ず何らかの「困った」を抱えた状態で相談にいらっしゃいます。ご自身の障害のこと、ご家族のこと、お金のこと、将来のこと…。「困った」の内容は人それぞれですが、一様に不安や困難さを抱え、そのことが生活にも影響が出てしまっている状態がほとんどです。
そのため相談支援専門員としては、その方と一緒に「困った」の内容を紐解き、「本当はこうありたい」という想いに耳を傾け、その実現の為にどのように取り組んでいけば良いか、その方と、他の支援者と一緒に考えていきます。
もちろん上手くいく事ばかりではありません。時にはその方からネガティブな感情をぶつけられる時もありますし、支援者間の意見が纏まらずに苦労することもあります。しかし、その方の「想い」やその方の「力」を信じ、実現に向けてみんなで協力していく。その過程がこの仕事の醍醐味であり、やりがいだと思っています。
平山さんご自身はお書きになっていませんが、彼は大学時代、もう一つ重要な「出会い」をしています。彼のパートナーは同じゼミ生の、染谷恵美さん。現在はジョブコーチをしつつ、3人のお嬢さんの子育てに励んでおられます。
平山さんは、昨年栃木県で行った講演を聞きに来てくれ、今年引き続き開催することになった相談支援専門員向けの演習を、ファシリテーターとしてお手伝いしてくれることになりました。この幸せな「再会(再びの出会い)」により、このブログは生まれました。
(文責;沖倉智美)