学部・大学院FACULTY TAISHO
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社会福祉学科
100年福祉-41 卒業生シリーズ⑩
3回連続で社会福祉協議会に勤務する卒業生を紹介するシリーズの最終回は、静岡県河津町社会福祉協議会の遠藤央恵さんです。①卒業年次、取得資格
2009.3 (平成21年)卒業
②卒業後の略歴
2009(平成21年)一般企業 販売職
2016(平成28年)社会福祉法人河津町社会福祉協議会
③大正大学社会福祉学科での思い出、選んでよかったと思うところ
少人数での授業が多いので、先生との距離が近く、話しやすい環境だったことです。
私たちの時は、学年が上がるごとに先生との面接があり、じっくり自分が将来何をしたいのか、どんな仕事をしていきたいのかについて考える機会がありました。そんな中で、私は福祉の勉強がしたくて大学に入ったのですが、福祉の現場で働くイメージが自分の中で出来ず、このまま社会福祉士の受験資格を取得するコースに進んでいいのか悩んでいた時期がありました。私の性格上、自分のいる環境に染まりやすい傾向があります。いつか福祉の現場で働きたい気持ちはあっても、卒業後すぐにそのまま施設に就職してしまったら、自分の人としての視野が狭くなってしまうのではないか、また今の自分には施設にいる利用者の方たちの思いを受け止めるほどの力があるだろうかと、いろんなことを考えてしまったことを先生に相談すると、「とりあえず私についてきなさい」と手を差し伸べてくれました。その一言でとても気持ちが軽くなり、卒業までに自分の道を決めていこうと決意することが出来ました。きちんと話を聞いた上で、アドバイスをくれ、自分で考え、自分の決めた道を進むことを尊重してくれました。結局、私は卒業後、福祉とは関係のない一般企業に就職しましたが、4年間学科で学んだことは決して無駄ではなく、福祉の心はどの場所にいても大切にしなければいけないものだということに、改めて気づくことが出来ました。私にとって勉強だけでなく、いろいろなことを教えてくれた恩師に出会えたことが、宝だと思います。
④社会福祉を学ぶことや社会福祉の仕事の魅力について
私の父は4年前、事故により頸髄損傷で障害者になりました。大学で障害分野の特に身体障害者の施設などに実習に行き、勉強していましたが、いざ自分が当事者家族になってみるとどうしていったらいいのか本当にわからず、何も出来ない自分に今まで自分は何を学んできたのかととても虚しい気持ちになりました。この時はまだ一般企業で働いていましたが、少しでも自分が大学で学んできたことを活かせる仕事をしたいと思うようになり、地元に戻り福祉の仕事を探し、現在は河津町社会福祉協議会で働いています。
河津町は伊豆半島の南端に近い東海岸沿いにあり、人口7500人程度で65歳以上が40.1%、75歳以上が51.5%を占めています。また伊豆の踊子の舞台になった七滝や河津桜、温泉などが有名な観光地の町です。河津町社会福祉協議会ではだれもが住み慣れた地域で、自分らしく安心して生活できる地域社会づくりを目指しています。その中で、地域に住む人が抱える様々な課題や福祉のニーズを解決していくために、問題点を発見し、対応していく仕組みと体制づくりに取り組んでいます。そのためにも、シニアクラブ、子供会、ボランティア団体など各団体の運営や活動の支援から地域のネットワークの構築や、一人暮らし高齢者の昼食交流会、一人親家庭のバス遠足など町民同士がふれ合える交流の場づくりに一人で多くの方に参加してもらい、いろんな方たちとの関わりを持つきっかけづくりをしています。
小さな町だからこそ町民の声は身近に聞こえてきます。まだまだ自分に出来ることは限られていますが、これから困っている方の声に耳を傾け、自分に出来ることを見つけ、少しでも町民同士が協力し、助け合い暮らしていける地域を作っていく手助けをしていけたらと思っています。
ゼミの仲間にも頼りにされ、実習先の職員や利用者にも可愛がってもらえたのに、いつも自信が持てずにいた遠藤さん。一般企業で荒波にもまれ、そして大切な家族のケアを通し、逞しくなって福祉の現場に戻ってきてくれました。
生まれ育った地域で仕事をすることを選んだ彼女の、新たなチャレンジを応援したいと思います。