学部・大学院FACULTY TAISHO
社会福祉学科
100年福祉-50 卒業生シリーズ⑫
卒業生を紹介するシリーズの12回目は、実習施設であり、ボランティア等も積極的に受け入れてくださっている小茂根福祉園に勤務して、3年目を終えようとしている馬場葵さんです。
①卒業年次、獲得資格
卒業年次 2015年(平成27年)
資格取得 社会福祉士
②卒業後の略歴
2015年(平成27年)小茂根福祉園 生活支援員
③大正大学社会福祉学科での思い出、選んでよかったところ
思い出は、何と言っても卒業研究です。三年生から始めた準備も含め、約二年も一人ひとりが取り組むことになります。それも自分が興味のあることをテーマとして選び、思いきり学ぶことが出来ます。私は、卒業研究を通して「利用者の強みを活かした個別支援計画」に関する研究に取り組みました。一年間、現在の職場である小茂根福祉園の就労継続支援B型でボランティアを行い、複数の作業、余暇、外出、行事を通して利用者の強み(興味があること、考え方、環境、出来ること、可能性)にたくさん気づくことが出来ました。その上で個別支援計画を作成するために利用者と面談を行いました。その中で利用者の希望や思いを伺うことが出来、そのことについてどうすれば達成できるのか一緒に考えている時の利用者の表情はとても生き生きとしており、今でも鮮明に覚えています。しかし、その時の会話や表情だけではなく、その利用者はさらに多くの思いを持っていることでしょう。それも含めて理解しようとする姿勢がいかに大切であるかを学びました。
また、卒業研究では色々な人に支えられながら学ぶことができました。その時に協力してくださった利用者、職員、恩師、仲間たちには何よりも感謝しています。ご縁があり、卒業研究でお世話になった小茂根福祉園で働いていますが、今でもがむしゃらに向き合っていたあの頃を思い出します。その時に培われた視点や思いが蘇り、日々感謝の気持ちを持ちながら仕事をすることが出来ています。恩師やゼミ仲間との繋がりも然りです。当時もものすごく支えられましたが、毎日のように会わなくなった今も、その繋がりが大きな支えとなっています。恩師からは、卒業後もゲストスピーカーとして講義する機会やこのブログの執筆のように課題を頂きます。その度に自分の仕事について、利用者との向き合い方についてとても考えさせられます。社会人三年目にしていい意味でも悪い意味でも「慣れること」が増えています。そんな中、恩師からの課題やゼミ仲間達との集まりは私にとって刺激となり、気が引き締まる有難い場となっています。こうした素晴らしい人たちと出会い、学ぶことができたのも、大正大学の社会福祉学科を選んだからだと思っています。
普段の授業だけではなく、現場を経験された先生方のお話や当事者の講義を通して、福祉に携わっている今の自分にとって、いつも忘れず心にとめておかなければならない重要なことを学ぶことが出来ました。また、ソーシャルワーク演習では、当事者や家族、社会福祉士、福祉事務所のケースワーカー等、役割や台詞を決め、ロールプレイングを行いました。当事者とサービスを繋げるにはどういった手続きが必要なのか、当事者が抱えている課題や思いを知るためにはどうアプローチしていけばいいのかを、様々な視点から考えることが出来た、大変貴重な機会でした。実践的な授業を数多く受講できる面でも大正大学を選んでよかったです。
④社会福祉を学ぶことや社会福祉の仕事の魅力について
小茂根福祉園では、生活支援員として生活介護で利用者支援を行っています。医療的ケアが必要な方、視線や表情、その方のサインで自分の思いを伝える方、体重減量をするため運動に力を入れている方、人と関わることやお喋りが好きな方等様々な利用者がいます。関わる度にこちらも楽しくなるような個性溢れる利用者ばかりです。
日中は運動やストレッチ、音楽療法、エコ活動等様々な活動を行っています。施設では決まったスケジュールや環境の中でいかに「一人ひとりに寄り添った支援」を出来るかが大切です。そのためには日々些細な変化に気付くことができるようアンテナを張り続けることが必要です。話す言葉は変わらなくてもわずかな表情の違いや、今までみられなかった行動等、日々変化があります。そのわずかな変化に気付き、その理由を考えます。理由を見つけるためのアプローチも一人ひとり違います。アプローチや対応方法を利用者と一緒に考え、それが利用者の思いとマッチングした時がこの仕事をしていて嬉しい瞬間です。
また、自分が知る利用者の一面だけではなく、様々な角度から利用者を知る必要があります。家族と情報交換する場合でも利用者本人の思いと家族の思いとの差があり、なかなか本人を取り巻く環境について知ることが困難なケースもあります。「利用者を知る」と言葉で言うことは簡単ですが、その方には膨大な「知るべきこと」が隠されています。その一つひとつを知り、積み重ねていくことが利用者を理解することに繋がります。
時にはつまずくこともありますが、そういった時こそ利用者の何気ない言動に癒されたり、とびきりの笑顔に救われたりしています。利用者が与えてくれるパワーは想像以上です。その度に福祉の仕事に就いてよかったと思うことが出来ます。そうした「人の強さ」に気づき、触れることが出来るのもこの仕事の魅力です。
いろいろ難しいことを考えるよりも、物事にがむしゃらにぶつかっていく勢いが持ち味の馬場さんでしたが、卒業研究を通して出会った利用者や職員の姿を通して、相手を深く理解するためには、知識や技術も身につける必要があることに気がついていきました。そして見事に卒業研究を仕上げ、社会福祉士現役合格。
このことは今後も、馬場さんが迷った時の道標になるはずですし、小茂根福祉園での実践を通して、この経験を実習生やゼミの後輩に伝え、彼らのより良き学びのお手伝いをしてくださることを期待しています。