学部・大学院FACULTY TAISHO
社会福祉学科
100年福祉-53 卒業生シリーズ⑬
社会福祉学科の卒業生を紹介するシリーズ第13回目は、学部卒業後、徳丸福祉園の第二ハウス(生活介護事業)で利用者支援を始めて、間もなく6年目を終えようとしている吉田歩さんです。
・卒業年次、取得資格
2012年(平成24年)
取得資格 社会福祉主事
・卒業後の略歴
2012年(平成24年)大泉旭出法人 板橋区立徳丸福祉園 生活支援員
・大正大学社会福祉学科での思い出、選んでよかったと思うところ
学科での思い出というと2・3・4年次に行かせてもらった現場実習です。当時は、2・3年次はランダムに実習施設に配属されますが、4年次はゼミの先生と相談して自分が行きたい施設を選びました。現場実習というと誰もが緊張するものです。そして必ず、実習ノートが付いてきます。一日緊張してやっと実習が終わったと思えば実習ノートが残っていることに肩を落とす日もありました。しかし今となれば、その実習ノートの重要性に気が付きます。生活支援員として働く今、支援員として実習生を担当することがあります。そんな時に当時、実習でお世話になった施設職員のコメントを参考にさせてもらう事で自分の学びや励みになります。また、仕事で行き詰まった際にも実習ノートや卒業研究など当時の学生での学びを振り返ることで、よく恩師が口にしていた“当事者の気持ちになって考える“という原点に戻れる気がします。
また、社会福祉学科の魅力は少人数での授業と何と言っても先生の熱心な指導です。大学4年次に行った卒業研究もまた、私の中で思い出に残っている出来事の一つです。研究テーマに取り掛かり初めの頃に、私のテーマに関連があるからと、地方で先生が開講した施設職員を対象とした演習に連れて行ってもらったことがあり、より研究への意識が高まったのを覚えています。私は研究の為、あるグループホームにお世話になりました。何度もグループホームへ足を運び、繰り返し先生とやり取りをしながら修正を入れていき、無事卒業研究を仕上げていきました。“直接的に答えを教えるのではなく、本人に考えてもらいながら答えに導く“そんな温かい指導のおかげで、社会人になる為の階段を一つ登れたのではないかと感じます。こんなにも熱心に指導してもらうことは後にも先にも無いという事を社会人になってから痛感しました。
・社会福祉を学ぶことや社会福祉の仕事の魅力について
現在、私は板橋区にある障害者支援施設「板橋区立徳丸福祉園」で働いています。就労継続支援B型1係と、知的障害や重複障害、身体障害を持つ方の生活介護の2係があり、利用者は100名、職員は40名近くいます。また、徳丸福祉園には大正大学の卒業生が多く在籍しています。
私は卒業研究を通して恩師から「あなたの学びたいことが学べる施設だから」と徳丸福祉園を紹介して頂きました。私が配属された係は知的障害(自閉傾向)を持つ方がほとんどで、自分の気持ちを言葉に表すことが難しい方々ばかりです。まず、私は彼らがどんなところで生き辛さを感じているかを知り、そのために私も一から勉強をしました。障害は一緒でも一人ひとり生育歴や性格が異なります。その人に合った支援を見出していくには一支援員の私だけで考えていく事は難しいのです。有難いことに私には相談出来る上司や同僚がいます。職員がそれぞれ意見を出し、支援の方向性を決め、連携して実践支援に繋げていくこの過程をチームで出来る事がこの仕事の魅力でもあると感じています。
当たり前に過ぎていく毎日ですが、利用者の方々は様々な方法で自分の感情を伝えようとしています。しかし、そのサインがわからないことも多々あります。そんな時“私がこの人であったら…“とその場面のその方の行動や表情など思い返して考えるようにしています。それでもわからない時もあります。仮説を立てたり試行錯誤しながら本人の想いに寄り添えた時、支援からご本人のプラスになる様子が見えた時には何とも言えない喜びと嬉しさを感じ、それがこの仕事のやりがいであると思っています。
社会福祉分野での学びはどんな仕事にも役立つと思います。私は人とのつながりや相手の想いに寄り添うことの大切さを学びました。大学での学びはどれも意味があったものだと今になって感じています。卒業研究は時に辛い時期もありましたが、乗り越えられた先に大きな達成感がありました。目の前にあることを恐れず、なんでも挑戦していく姿勢はこれからも持ち続けていきたいと思っています。
徳丸福祉園には本学の卒業生6名が在籍しています。ここ数年、ゼミの卒業研究作成にあたって、複数の学生が毎週半年以上通い続け、利用者の皆さんと関わりながら、個別支援計画作成に関する実践を学ばせていただいています。吉田さんを始めとした卒業生の皆さんは、折に触れて後輩を見守り、励ましてくださっています。中には実習や卒業研究での経験を踏まえ、現在職員として働いている人もいます。皆さんの益々のご活躍を祈っています。