学部・大学院FACULTY TAISHO
社会福祉学科
100年福祉-63 卒業生シリーズ⑰
卒業生を紹介するシリーズの17回目は、先日行われた福祉業界領域別ガイダンスで、参加した後輩たちに充実した日々の実践を語ってくれた古岡春菜さんです。
①卒業年次、取得資格
2013(平成25)年3月
取得資格 社会福祉士
②卒業後の略歴
2013(平成25)年4月 社会福祉法人 長尾福祉会 パセオやがみ 支援員
現サービス管理責任者
③大正大学社会福祉学科での思い出、選んでよかったと思うところ
社会福祉学科での一番の思い出は現場実習です。2年次に1週間、3年次に3週間、就労継続B型の事業所で行わせていただきました。実習は、事前準備から始まります。実習計画書を作成するのですが、ボランティア程度の経験しかなく、事業所のイメージがあまり湧かなかった当時の私にとっては非常に難しかった覚えがあります。そんな時、先生が相談に乗って下さり、丁寧に指導してくれました。また、実習が始まってからも実習日誌を書くのが大変でした。感想や思ったことではなく「学んだこと・考察」を記すのが難しく毎日苦戦しました。しかし、実習日誌を書くことによって一日一日をじっくりと振り返ることができ、より学びが深まりました。3年次の実習では個別支援計画を作成する練習にも挑戦しました。利用者さんの様子をじっくり見たり、職員に質問したりしながら情報を集め、その利用者さんにはどんなニーズがあるのか、どんな風に生きたいと思っているのかを必死に考えたことは、今でも貴重な経験として心に残っています。あの時の利用者さんのことを知りたい・理解したい、という必死な気持ちを忘れないように今も仕事に取り組んでいます。
また、実習中は初めての場所・初めての人・初めての事ばかりで不安でいっぱいだったのですが、先生が巡回に来て下さった時の安心感は大きなものでした。そんな風に感じられたのは普段から先生が愛を持って温かく指導してくださっていたからです。優しさだけではなく、時には厳しく指導してくださいました。卒業してからも「先生にいつ会っても恥ずかしくない自分でいたい」という想いを持って、日々頑張っています。そんな風に思える恩師に出会え、幸せな大学生活でした。
④社会福祉を学ぶことや社会福祉の仕事の魅力について
私は現在、川崎市にある障害福祉サービス事業所「パセオやがみ」(生活介護)で働いています。毎日33名の利用者さんが通われています。地域の養護学校卒業生の受け皿として6年前に新設された事業所なので、利用者さんの平均年齢は20代前半ととても若く、活気に満ちた雰囲気です。活動は、ボールペン組み立て等の受注作業・お散歩・ストレッチ・創作活動等を行いながらのんびり過ごしています。「明日もまた行きたいな」と思ってもらえる施設を目標に日々支援しています。
この仕事の魅力ですが、毎日利用者さんたちからパワーをもらえることだと思っています。例えば、利用者さんたちの好きな事へのパワーはすごいです。毎日好きな物を肌身離さず大事に持ち歩く人、好きな人を見つけると周りを気にせず猛ダッシュしていく人、好きな食べ物だけを食べて生きていたい人など…。逆に私が仕方なく我慢していることを、利用者さんは「嫌なことは嫌」「絶対にやらない!」と訴えられる力も持っています。もちろんそれらのパワーが裏目に出てしまって支援者として困る場面も多々あります。しかし、とても正直に生きている姿は人間味に溢れていて素敵だと思うのです。
また、日々支援していく中で「支援には正解がない」と思うことが多々あります。利用者さんの呼び方一つにしても「事業所は仕事をする場所であり、社会人なのだから苗字で呼ぶべきである」、「利用者さん本人が名前で呼ばれたいと言っているのだから利用者さんの意見を尊重するべきだ」、どちらの意見も間違っておらず、いくら話し合っても正解は出ないと思います。この他にも利用者さんとご家族の意向の違いであったり、職員同士の考え方の違いであったりと、ぶつかり合う事も少なくありません。ですが、そうやってみんな利用者さんのことを想い、どんな支援が最善なのか考えながら試行錯誤して働いている、そんなところに魅力を感じています。
生活介護事業所で働き始めて、間もなく5年目を迎えようとしている古岡さん。大学で身につけた知識を実践と結びつけ、迷いながらも見出した「最善の解」に裏打ちされているからでしょうか、皆の前で語るその姿は、自信に満ちていて素敵でした。職場であるパセオやがみとの「良縁」に加え、最近そこで素敵なパートナーを得るというもう一つの「良縁」に恵まれたとのこと。お二人のこれからに幸多からんことをお祈りするとともに、今後の益々のご活躍をお祈りしています。
(文責;沖倉智美)