学部・大学院FACULTY TAISHO
社会福祉学科
100年福祉-81 卒業研究審査会(発表会)が開かれました。
去る11月25日(土)に、卒業研究審査会(発表会)が開かれました。社会福祉学科のゼミは8つあり、2教室に分かれて行われました。私は552教室の方に出席しました。沖倉ゼミ、松本ゼミ、宮崎ゼミ、新保ゼミの順番でパワーポイントによる発表が行われ、副査によるコメントや質疑応答がありました。
グループ形式で卒研を書き上げる形式に変わって2年目ですが、次第に定着を見せているようです。アプローチは多様ですが、1つのテーマについて深めるのが卒研であるのは変わりありません。
本学科の卒研は、大きく分けると2つのスタイルがあります。
1つは、学生出前定期便プロジェクト、特別養護老人ホームでのファッションショープロジェクトなど、イベントを自ら企画・開催し、事業の担い手となりながら、そこから考察を深める研究です。施設や地域の中にできる限り入っていき、コミュニティーソーシャルワーカー、施設職員、地域住民といった日常的な社会福祉の担い手の方々と会議や連絡を重ねながら、意味、効果、課題、発展の方向性などを考えるという方法です。特に、副査として論文を読むと、準備からプロセスが丁寧に記述されており、実習、基礎ゼミ、基礎実践などで培われたスキルが発揮されている面もあるように思いました。学生や大学が地域の社会資源の一つになっており、形を変えても、それが毎年続くと、より資源として確立していくことでしょう。多くのプロジェクトは、当日聞いていた3年生が受け継いでいくことになります。
もう1つは、オーソドックスなスタイルの研究です。これは、先行研究を丁寧に文献調査し、そこから明らかになっていない課題を焦点化し、社会福祉援助のあり方をインタビューやアンケートの調査で明らかにし提言するものです。例えば、アセスメントのあり方や障害者の「親の会」の研究です。施設職員や関係者のインタビューや活動への参加を積み重ねていく方法は、社会福祉学に特徴的です。また、私のゼミは貧困を研究の柱にして、社会問題となっているトピックからアプローチしていく研究が多いです。子どもや高齢者の貧困、ブラック労働、ハウジングプアといった社会問題にアプローチするスタイルです。子ども食堂、プレイパーク、働く若者、野宿者や簡易宿泊所街での支援団体、シルバー人材センターなどでインタビューやアンケートを行い、日々の取り組みに学ばせてもらいました。
今回、4年生は、学術の方法を使って、調査し探究して一定の結論を引き出す経験をしました。調査が上手くいかなかったり、結論がうまく導き出せなかったりすることもあったでしょう。一方で、苦労して論文にし発表する喜びや達成感を獲得した人も多くいたと思います。いずれにしても、教員としては、今回の経験がこれからの人生で何らかの糧や種となって、どこかで主体的に活かしていくこと、活かされることを願うばかりです。今は分からなくても、何十年後に「あの時の教員の言葉はこういう意味があったのか」と振り返ることもあるかもしれません。
なお、本年度の卒業研究のタイトルは、3月頃に本ブログに掲載予定です。
(松本一郎)