学部・大学院FACULTY TAISHO
社会福祉学科
100年福祉-85 卒業生シリーズ㉒
社会福祉学科の卒業生を紹介するシリーズ第22回目は、在学中からボランティア活動をしていた自立生活センターで、引き続き仕事を続けて14年目を迎えようとしている龍野裕輔さんです。
①卒業年次、取得資格
2005.3(平成17年)卒業、社会福祉士取得
2014.3(平成26年)介護福祉士取得
2015.3(平成27年)介護支援専門員取得
②卒業後の略歴
2005.4(平成17年)~2013.5(平成25年)
特定非営利活動法人自立生活センター板橋(居宅介護事業所) 介護職員
2013.6(平成25年)~
合同会社ケアズフューチャー(居宅介護事業所) サービス提供責任者
③大正大学社会福祉学科での思い出、選んでよかったと思うところ
選んでよかったと思えることはいくつもあるのですが、一つ上げるとすれば「出会い」であると思います。
まず、ゼミのメンバーとの出会いです。在学中、時間を見つけては広く福祉について熱く討論したことを覚えています。必ずしも支援職を目指している人ばかりではなかったので、様々な視点、より社会一般の感覚に近い視点で物事を捉える必要があることを学べたように思います。それが現在の仕事で利用者の「より良い普通」を考える際に役立っているように感じています。また、同業種のゼミのメンバーとは小さい組織に所属していて視野が狭くなりがちな自分自身の働き方の悩みから、私的な子育ての悩みまで話せる良い付き合いを現在も続けています。
恩師との出会いも仕事をしていく上で、大切なものとなりました。在学中から現場での心構えや利用者の権利擁護等の基礎的でありながら、とても大切なことを繰り返し教えて下さったことが、現在働いていく上でのベースとなっています。今でも現場で、迷う場面、悩むことがあれば、恩師の教えを思い出し、判断の指針としています。
④社会福祉を学ぶことや社会福祉の仕事の魅力について
私は、現在障害のある方の居宅介護事業所のサービス提供責任者ですが、主な業務はホームヘルプです。利用者は肢体不自由の方が中心で、知的障害を重複している方もおられます。食事介助や入浴介助などの身体介護から調理や掃除などの家事援助まで生活全般のことを幅広く一対一で行っています。
現場に入れば一対一なので、判断を求められる場面、課題を一人で解決しなくてはならない場面など大変ではありますが、この仕事の一番良いところである利用者の気持ちに密に寄り添えるということも一対一であればこそといった感じです。
移動支援の場面では、利用者が初めて出かけることができて「楽しかった」と言って下さったり、利用者の知人の葬儀に同行支援した場面では、「悲しみ」とともにお見送りをして頂いたり、そういった数多くの場面で利用者に寄り添うたびに、この仕事をしていてよかったと強く感じています。
職種柄、同僚は介護福祉を学び介護技術を重視する視点が多い中で、社会福祉を学んできた視点は現在、仕事をしていく上で、大変役立っています。その中でも、常日頃意識しているのは、エンパワメントです。在学中は、あまりピンときていなかったのですが、現場において、言葉かけ一つで利用者のできることが増えていく(減っていく)ということを目の当たりにし、重要性を強く感じるようになりました。今後も障害種別を問わず、それぞれの利用者のできることと支援が必要なことを見極め、利用者自身ができることを増やしていけるよう考え続け、精進していていきたいと思います。
龍野さんは、1つ年長のゼミ生が多かった中で、「末っ子」のような雰囲気があった学生でした(そんな彼も今では一児の父)。それが今では自立生活センターの車いすユーザーの皆さんやゼミの同期生に支えられ、一つひとつの場面で迷い、悩み、決断しながら、実践を積み重ねてきている頼もしい人材です。今後も「より良い普通」を見出すことを諦めずに続けてください。応援しています。
(文責;沖倉智美)