学部・大学院FACULTY TAISHO
社会福祉学科
学生出前定期便の活動紹介
宮崎ゼミ卒業研究取組みの1つに、学生出前定期便があります。ゼミの卒業研究として取り組むようになってからは、5年目です。
この学生出前定期便の始まりは、大学院生の社会福祉実践分析研究です。地域のまとめ役の方々へグループインタビューを実施し、その中から生まれたものでした。そのグループインタビューで発言をされた方も数年前に亡くなり、学生出前定期便の現状を報告できず残念です。
このように始まった学生出前定期便は、大学に一番近い庚申塚商栄会の商店街空き店舗にてスタートした「大正さろん」を拠点として取り組み始めましたが、「大正さろん」の閉室に伴い、活動を止めるしかなくなりました。
その後、区民ひろば西巣鴨第一内に、豊島区民社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカーの拠点ができたことをきっかけにして、学生出前定期便を再開させることができました。
学生出前定期便は、菊かおる園地域包括支援センター圏域内の高齢者や障害者の「ちょっとしたお困りごと」に対応しています。この「ちょっとしたお困りごと」とは、たとえば電球の交換、カーテンの取り換え、植木鉢の植木の植え替え、重たい荷物の移動、携帯電話の操作などです。5年も続けているうちに、コミュニティソーシャルワーカーにとっても、学生出前定期便は頼れるインフォーマルサービスになってきております。
今回、高齢者の方が多く住んでいる都営住宅が老朽化のため、建て替えをすることとなり、住民の方々が引っ越しをしなければなりません。そうなると、高齢者のひとり暮らしや夫婦世帯の方が、引っ越しするために家財道具の処分をしなくてはならないが、「できなくて困った」と、コミュニティソーシャルワーカーに連絡がはいり、少しずつ学生出前定期便で対応していました。
ところが、次から次へと依頼がくるし、引っ越し期限が近づけばいっそう増えるであろうということになり、コミュニティソーシャルワーカーから相談があり、その結果、学生出前定期便の臨時便を開催し、多くの学生で多くの依頼に対応することとなりました。
では、2019年5月18日(土)10時~15時 学生出前定期便・臨時便について、卒業研究として取り組んでいる4年生2名のまとめを以下にご紹介します。
学生出前臨時便を終えて
今回、都営住宅西巣鴨2丁目アパートが建て替えになるとのことで、学生出前定期便の臨時便を立ち上げ、学生25名、CSW4名、菊かおる園高齢者見守り支援事業担当2名、自治会長1名、民生委員2名、OG1名という大人数で活動を行なった。
3班に分かれて活動を行ない、男子チーム2班は、大きい家具などの粗大ごみをメインに運び出しを行い、女子班は基本的に軽めのものを運び出した。楽器、釣り竿の束、いす、ヒーター、電子レンジなどから食器棚、タンス、スチールデスク、畳など一部重いものがあったが、今回は物を運ぶ際に人数の多さを活かして、各階に人員を配置して流れ作業で行うようにした。
高齢の方が、2階から5階までエレベーターがない中で、重い荷物を持ちながら階段を行き来していると思うと、普段から大変な思いをされて生活しているのだと身をもって感じる機会になった。学生が5階に上るとき、何も持っていないのに息が上がったりすることから、高齢者の方が荷物をもって上り下りしていることがすごいと感じるようになった。食器棚のような高さがあるもの、スチールデスクをおろす際に足が物とあたってしまったことから冷や汗をかいたこともあったが、周りとのかけ声などチームワークは大切であると学ぶことができた。
臨時便という形で一日に複数の依頼を受け、住人や自治会長、民生委員など地域の方と関われる機会を得ることができて貴重な体験になったと感じる。今後も学生出前定期便の活動の中で、臨時便の時に学んだ効率的な方法や考えを活かしつつ、地域の方の悩みを解決するとともに悩みごとの把握、社会的孤立の予防に引き続き取り組んでいきたい。
(4年生 殿岡冴月)
学生出前定期便臨時便の感想
西巣鴨都営住宅の取り壊しが行われるということで、住民の自宅の粗大ごみ搬出作業を行った。宮崎ゼミの3.4年生が活動に参加し、怪我なく無事に終了した。
4年生の男子学生・3年生の男子学生・女子学生と分かれ、それぞれ作業をした。各グループで協力して、どのように運ぶのが安全で効率が良いのかを全員で考えて行えたということだった。
民生委員の方が前日から準備をしたという昼食を頂いた。輪になって食事をし、今までほとんど関わりのなかった3年生と交流も深めた。
搬出作業の際、住民の方から「ありがとう」「ご苦労様」「助かります」という言葉も掛けて頂き、とても嬉しかった。
学生出前定期便は毎年代々引き継がれている活動ではあるが、今回の臨時便の活動は初だったので、これからの学生出前定期便の活動に活かすことのできる経験だった。
(4年生 衣笠涼奈)
学生出前定期便・臨時便の1日を終えて、搬出した粗大ゴミです。
この夏休みも学生出前定期便は、大正大学周辺で活動を続けております。
(文責:宮崎牧子)