学部・大学院FACULTY TAISHO
社会福祉学科
医療・福祉従事者に敬意と感謝を(取材コメントに関連して)
先日、東京新聞で「コロナ禍における医療ソーシャルワーカーのジレンマ」についての取材を受けました。その記事では、医療ソーシャルワーカーの日本における専門職としての起源から現在の課題であるコロナ禍でのジレンマまで取りあげられています。医療ソーシャルワーカーについて関心がある人は、下記にありますので是非ご一読ください。
そこで私のコメントに関連して、皆さんに強くお願いしたいことがあります。
日本の医療システムは、僕が現場にいたのは10年以上前になりますが、本当によくできていました。そしてその後も進化してきたと思います。そのシステムが、新型コロナという感染症のため崩壊しかけています。
そのあらわれとして昨日(ブログ掲載までタイムラグあり)、新型コロナの対応に協力しない病院は病院名の公表をという行政の会見がありました。またマスコミでも、患者さんが適切な医療を受けられず、無念の結果となる報道があります。これらによって医療機関に対し、ネガティブな印象を受ける方もいらっしゃるかもしれません。ただし医療従事者が悪いのではありません。新型コロナが平時の医療システムの想定を超える病であるのが問題なのです。
医療ソーシャルワーカーの後輩や教え子に聞くと本当に医療現場は大変です。新型コロナ対応をしている病院だけでなく、それをしていない病院でも医療が通常通り行えず、現場は本当に苦しんでいます。また多くの医療・福祉従事者が、自分や家族のことをかなり犠牲にして、そしてリスクを引き受け頑張っています。そして日本で生活しているみんなでこの大変さ、苦しみを分かち合うことが求められると思います。
確かに命にかかわる無念なこともたくさん起きています。その関係者の無念は計り知れません。ただし頑張っている医療従事者に対してもリスペクトを忘れないでほしいです。そして医療ばかりピックアップされますが、保健・医療・福祉は地域包括ケアシステムを考えるまでもなく一体です。社会福祉分野でも関係者は、同じように大変な思いをしています。
医療従事者に対するリスペクトとしてブルーインパルス、花火、芸能人の焼肉弁当差し入れ等がありました。それについては本当に感謝しますが、これらはみんなにできることではありません。ただ少なくとも、だれもが医療・福祉従事者に敬意を持ち感謝する、これだけはできると思います。それだけでも頑張っている人たちは、わかってもらえている、応援されていることで、ゆとりもできて頑張れます。
最近の状況から、医療従事者に対してネガティブな印象を持つ方もいるのではないかと思い、リスペクト(敬意と感謝)を忘れないでほしいと心からお願いいたします。
(文責:新保祐光)