学部・大学院FACULTY TAISHO
社会福祉学科
わがまち再発見!~社会福祉学基礎ゼミナールⅡ まち歩きから学んだこと~
社会福祉学科では、1年生全員がゼミナールに所属し、区内の区民ひろばに常駐しているコミュニティソーシャルワーカーの仕事の一部を体験的に理解すべく、区民ひろばで行われている講座やプログラム、行事に参加する等のサービスラーニングを行っています。昨年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、資料や視聴覚教材から理解したことをオンライン上で小グループとして共有する、課題提示とオンラインの方法で開講しました。
今年度も引き続きコロナ禍にあって、第1・2クオーター(春学期)は、1年生62名が4クラスにわかれて、対面受講とオンライン配信のハイブリッド型で、豊島区の社会福祉や区民ひろばの機能、コミュニティソーシャルワーカーの仕事について、資料や視聴覚教材を用いて学修しました。短い夏休みを終え、第3クオーターは、区民ひろば所在の周辺地域を小グループで歩くことを計画していましたが、残念ながら緊急事態宣言の延長に次ぐ延長で、断念せざるを得ませんでした。その代わり、学生個々人の在住地域とその隣接地域、各自2地域を、事前事後の情報収集も含めてじっくり歩くという「密にならないまち歩き」に切り替え、先日そのまとめを行いました。
沖倉クラスでは、西部圏域のコミュニティソーシャルワーカー多村さん・勝又さんから、まち歩きの視点(地域アセスメントの重要性やチェックポイント等)をレクチャーしていただいた上で、15名のゼミ生が、在住の東京・神奈川・千葉・埼玉の各都県の小地域を歩き、気づきをメモしたり、写真に残したりしました。その後、授業を再開し、5名ずつ3グループにわかれて、個々人の探索から得た見聞を共有し、その共通点や相違点から、自分の歩いたまちの特徴を確認し、その成果をクラス内で発表し合いました。つまり、各グループ10地域、クラス全体で30地域を知ることができたわけです。同じ区内・市内を歩いても、選んだ地域はもちろんのこと、歩く曜日や時間、観察の視点の相違により、受けるイメージや得られる情報が異なることから、視野を拡げることができました。
今後、社会福祉士として支援する可能性のある人々のことを「もし私が〇〇だったら…」と考えながらまちを歩いてみると、第1・2クオーターで学んだ地図や統計データからだけではわからないことに気づけたようです。例えば、「車いす利用者だったら、道が狭くて危ない」、「東京オリンピックで話題になったピクトグラムを見つけた」、「観光地が近くにあるので、外国語表記が多い」、「公共交通機関の利便性は、まちによってこんなにも違うのか」、「医療や福祉施設のある場所が、地域内で偏っている」等、不便さや施されている配慮や工夫を見つけることができていました。いつもは目的地に向かうために通り過ぎるだけの商店街、電車に乗るだけの駅、身近にあるのに気がつかなかった福祉施設といった「わがまち」を見直す良い機会となったようです。今後は、次年度からスタートするソーシャルワーク実習に向けて、これらの地域の特徴がなぜ生まれるのかを、さらに深掘りしていきましょう。
(文責;沖倉智美)